ブラジルサッカー便り 

2014年よりブラジル、サンパウロ在住、サッカー大好きです。

コリンチャンス優勝の立役者、エースのジョ 優勝から一夜明けて、、、

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(Daniel Augusto Jr. / Ag. Corinthians)コリンチャンス史上初のブラジル全国選手権得点王になるか、現在18得点で得点王争いトップのジョ

 11月15日、満員の4万5千人が詰め掛けたアレーナ・コリンチャンスで、フルミネンセを3-1で倒し、2年ぶり7回目の優勝を果たしたコリンチャンス。

コリンチャンスは、昨年は低調な成績だったこと、監督も、多くの候補に断られたが故の、苦肉の策として助監督を昇格させざるを得なかったこと、同じサンパウロのライバル、パルメイラスとは比較にならないほどの質素な戦力補強などで、今年の初めに優勝候補に挙げる声は皆無だった。

 そんなコリンチャンスを優勝に導く原動力となったのが、今年新加入の元ブラジル代表FWジョだ。「質素な補強」と先に書いたが、コリンチャンスにとってジョは唯一の大型補強といえるものだった。

 ただそれでも、移籍の決まる直前は、ジョは無所属の状態で、長期間実戦から離れており、まさか全国選手権35節までに18得点という活躍をする事など期待されていなかった。

 優勝を決定付けた翌日の16日、前夜の激闘の疲れも見せず、ジョが地元紙に口を開いた。

Q昨日はあれから眠れた?
A3時間だけね。これまでの人生で、幸せな時も辛い時も一緒にいてくれた奥さんと、優勝の味をかみ締めたよ。

Q試合直後のお祝いの時、チームスタッフがお祝いのノンアルコールビール(スポンサーのビール会社)を持ってきたのに、それを断ったね。
A見られてたか、そうだよ。昔は飲んだくれの遊び人だったけど、もう俺は生まれ変わったんだ。ノンアルコールビールだって、もう口にはしないよ。
(ジョが遊び人だったことも、このままじゃいけないと、選手としてのキャリアを守るため、改心するために、キリスト教福音派の教えに深く傾倒したこともブラジルでは有名)

Q昨日の試合で2点目を決めた時に、得点王争いでトップに立ったことに気付いた?
A決めた直後には気付かなかったよ。でも確かに1点上回っていた、フルミネンセのエンリケ・ドウラードを抜いたね。こうなったら残り3試合、得点王獲りたいね。コリンチャンスから全国選手権得点王になった選手はいないんだろ?それが出来たら、凄く名誉な事。でも、監督のカリーリが、温存策をとるかもしれない

Q君としては残りの3試合も出場したいと?
Aもちろん。そうしたいし、そう頼むつもりさ。少なくとも2試合には出たいよ。得点王になって、チームの歴史に名を刻みたい。2005年のテヴェスだって成し遂げていないんだし。でも優勝は決めているからプレッシャーは少ないね。

Qちょっと前まで、来年もいるかどうかは分からないような事を言っていたけれど、今では来年のリベルタドーレス杯が楽しみって言っているよね。状況に変化でも?
Aサッカー選手の状況はめまぐるしく変わるよ。確かに少し前まで、ヨーロッパのクラブが僕にオファーなんて噂も出ていたよね。だから、どんな可能性も閉ざす事はないとだけ言っていたつもりだよ。今は、正式オファーなんてない事がはっきりして、考え方も変わった。コリンチアーノたちへの愛着もあるしね。来年はコリンチャンスのレギュラーとして、リベルタドーレス杯を戦いたい。

Q2017年の始まる前の低い下馬評から、2018年はマークもきつくなると思うけど?
A間違いないね。こんだけの結果を残したんだ。マスコミが持ち上げてくれる事で気を抜いちゃいけない。常に謙虚さを保って来年も戦わなきゃ。

Q満員のホームスタジアムで試合に勝って優勝を決めるのは格別だった?
A最高だったよ。2005年もコリンチャンスの一員として優勝を決めたけど、あの時はアウェイで負け試合だった。

Q今アレーナ・コリンチャンスがある場所は、昔コリンチャンスのユースチームとして練習していたところだけど
Aコリンチャンスは、自分がユースチームに所属していたころから考えると、凄く進化した。この変化を近くで体験できていることは素晴らしいことだよ。スタジアムのある場所も、ちょっと前までは何もなかったわけだし

Q控えのセンターフォワード、カジム(イギリス生まれのトルコ移民の子)との仲はどう?カジムはいつも君を誉めているし、誰に対しても「マノ」(サンパウロの若者言葉)って呼びかけて、ブラジルの生活にもなじんでいるみたいだけど

A彼のポルトガル語は良くなっている、サンパウロのスラングも使って。彼はトルコでプレーした経験がある。あそこのファンの熱気も凄いけど、ブラジルの方がよりフランクで人間味があるね。コリンチャンスにも馴染んでいるよ。

Q今回の優勝にファンが果たした役割は?

Aファンはチームにプレッシャーをかける時と、支えるべき時を分かってくれている。チームはそれにプレーで応える。このコンビネーションはとてもいいよ。例えば、フルミネンセ戦でいきなり失点してしまった時、ファンの声援はより一層大きくなったんだ。それに、とても重要だったパルメイラスとのダービーの前の練習に、スタジアムに32000人も集まってくれたことは印象に残っている。

Q君を批判していたジャーナリストになにか言いたいことは?

A何もないよ。むしろ感謝している。批判する人も褒めてくれる人もサッカージャーナリストとして、プロとしてやっていることだから。彼らのそれなりの根拠があっての発言は尊重するよ。

 

 訳していて、一番うれしかったのは、「(ヨーロッパからの)正式オファーなんてないことが分かって、もう残る気でいる。リベルタ―ドレス杯が楽しみ」との言葉だった。とはいえ、何が起こるか分からないのがサッカーの世界。冬のマーケットで移籍なんてことがないように祈るばかりだ。