ブラジルサッカー便り 

2014年よりブラジル、サンパウロ在住、サッカー大好きです。

ジョーのお別れ会見

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会見場でのジョーの様子(Daniel Augusto Jr. / Ag. Corinthians)

1月5日にコリンチャンスのクラブハウスでジョーのお別れ会見が行われた。その様子をどうぞ。


 Qいよいよ、お別れの日が来ましたが、どんな気分? コリンチャンスのサポーターに一言。
Aコリンチャンスに戻ってきて以来、数えきれないほどの人に助けられて、ここまでやってこれた。全員に感謝している。「さよなら」とは言いません「また、会おう」と言いたいです。

 

Qあなたの後釜としてコリンチャンスのセンターフォワードを張る選手に一言。
Aピッチ内外でコリンチャンスの選手として求められるふるまいを早く理解することと、いつも全力を尽くすことを忘れないことが重要。コリンチャンスには、選手を助けてくれるスタッフや設備、プロフェッショナルがそろっている。

 

Qもし去年の内にブラジル代表への召集を受けていたら、このタイミングでの移籍はなかったのでは? せめてもう半年残れたのでは?(代表に呼ばれていて、ロシア行きの可能性が現実的なものだったら、このタイミングで移籍することはなかったのでは? という意味でしょう)
A代表復帰は常に目標。もちろん今でもその思いは変わっていない。 (ブラジル代表レギュラーには、中国リーグ北京国安所属の選手レナト・アウグストがいることを暗に示し)チッチ監督は選手がどこにいても見ていてくれる。代表に呼ばれても、呼ばれなくても普段の自分の取り組みが変わることはないし、移籍の決断にも影響はなかった。サッカー選手の運命は何も保障されていない。先のことを計画しすぎても無駄。その日その日を懸命にやるしかないんだ。

 

Qファンはこう思っていると思います。「え?日本だって?今のトレンドは中国じゃないの?」オファーが届いたとき率直にどう思いましたか?
A日本はみんなも知っている通りの先進国。家族のことを、特に最近生まれたばかりの次男のことを考えた時、日本の治安や教育レベルの高さも決断の要因になった。そしてオファーされた金額も、自分の年俸だけでなく、コリンチャンスに入る移籍金も、断りがたいほど高いものだった。自分のことだけを考えていたわけじゃない。コリンチャンスにとっても良いものか、それも考えた。昨年の自分の成績がこうして評価されてオファーが届いたことはうれしく思った。コリンチャンスを離れることはつらい。これは否定する気はない。でもこれがサッカー。

 

Q今のコリンチャンスは去年の初めに似ている。去年の初めのコリンチャンスの前評判はとても低かった。あなたへの期待も低かった。 それを見返し優勝したが、今年は大黒柱のあなたがいなくなり、またコリンチャンスは悲観論が高まっている。 今年のコリンチャンスも、去年のように、悲観論を見返して好成績を収められる?
Aもちろんできるよ。チームは真剣に練習し、残った選手の質も確かだ。去年よりプレッシャーはきつくなるけどね。コリンチャンスの監督選手たちは自身の事をよく知っている、目的意識もしっかりした集団だ。チームの仲間は友人だ。実はサッカー界ではこれはそんなに良くあることじゃない。コリンチャンスが今年も勝てるように、良い結果が出せるように本気で願っている。

 

Q昨シーズンの最高の瞬間と、最も困難だった時期を教えて。
A最高の瞬間は一つだけと言われても難しい、サンパウロ州選手権優勝に、全国選手権優勝、得点王とあるけれど、自分の2得点で全国選手権優勝が決定した11月15日のフルミネンセ戦で、最も困難な時期は、開幕したての頃、またコンディションも上がり切ってなくて、レギュラーポジションを掴み切っていなかったころ、ホーム開幕のサンパウロ州選手権サント・アンドレ戦でPKを失敗してチームも負けたこと。帰りの車でファンに見つかって、ヤジもものすごくて、奥さんや両親にも悲しい思いをさせたこと。 でも家族に言ったんだ。「これがサッカー。もうちょっと時間が経てば絶対に解決する」ってね。

 

ここでコリンチャンス会長が一言 
「去年の半ばにジョーにはヨーロッパのチームから移籍オファーが届いていた。そのオファーはジョーの個人的な条件だけなら、今のオファーよりずっと良かったが、チームにとっても旨味が少なかった。ジョーはそのオファーを断ってくれて、今このタイミングで、チームにとってずっと良い条件のオファーを受け入れてくれた。ここであえてこの話をするのは、ジョ-のそうした人柄を知ってもらいたいから。あのタイミングで移籍されていたら、コリンチャンスは優勝できていなかったかもしれない。彼には感謝しているし日本での成功、幸せを祈っている。これは先方から聞いたのだが、ジョーの移籍は日本サッカー史上で最大の契約(「外国人選手獲得に払う移籍金としては」)だそうだ。ジョーはコリンチャンスでも、コリンチャンスに来る前のチームでも自分の価値を証明してきた。あとはチッチがブラジル代表に呼ぶだけだと思っている。ジョーがブラジル代表のユニフォームを着てロシアワールドカップのピッチに立つのを見たいし、自分に何か手助けできるものならしたいくらいだ。彼は選手としてもその人格でもそれにふさわしい。

 

Qあなたは以前中国でプレーしていますが、日本のレベルをどのように見ていますか?
A日本のチームと何度か対戦したことがある。(江蘇蘇寧時代のACL東京戦?それとも2013コンフェデブラジル日本戦?)いつも日本は戦術的に規律正しくサッカーするという印象。全員がチームのために献身的によく走る。今Jリーグが世界であまりメジャーではなく、存在感もないように思われているけれど、それは彼らが投資をしない(ビッグネームをとってこない)から。例えば、自分の意見では中国サッカーそのもののレベルは日本よりずっと低い。しかし中国リーグは大きな投資をしている(ビッグネームを獲ってくる)。それが中国が注目される理由だと思う。日本のリーグのレベルはアジアトップ。それは日本代表が常にワールドカップ予選を突破していることからも明らか。 当然ながら選手個人個人のテクニックのレベルは、ヨーロッパや南米には及ばないけれど、日本のリーグが決して簡単だとは思っていない。


まだまだあったのですが、コリンチャンスの話題がほとんどだったので割愛します。

 外国人選手の、Jリーグへの適応の際に最も大事なのは人間性。日本をバカにしたような態度の選手は絶対にうまくいかないが、ジョーに限ってそれはないと断言できる。
 次に重要なのは家族が快適に過ごせること。特にジョーは次男坊が生まれたばかりなので、奥さんへのケアも重要。
 3番目に周りの選手とのコンビネーション。コリンチャンスにはロドリギーニョというパサー、チャンスメーカーがいた。昨年途中にグランパスに加入し、チームの大黒柱のガブリエル・シャビエルとのコンビを確立させることが大切。

 不安があるとすれば、ブラジル1部で最低失点だったコリンチャンスから、J2でも失点が多かったチームに移籍するストレスだろうか?グランパスは失点を減らすことができて、ジョーとシャビエルのホットラインが機能すれば、J1上位争いや、カップ戦での優勝も見込めるのではないだろうか?

 頑張れジョー!コリンチャンスのことは心配しないで、思い切り名古屋で暴れてくれ!開幕からゴールラッシュで、滑り込みでロシア行きを掴むこと祈ってるぞ!