ブラジルサッカー便り 

2014年よりブラジル、サンパウロ在住、サッカー大好きです。

ブラジル国内リーグでは、今年からのビデオレフェリー導入は見送りに

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今年もジャッジを巡る議論は大いに盛り上がってしまいそうだ

(Gilvan Souza/ Flamengo)

 

5日にリオのCBF本部で行われた、ブラジル全国選手権1部リーグ20チームの会長会議で、今年のリーグ戦でのビデオレフェリー採用が見送られることが決まった。

「リーグ戦の後半戦(第20節)からの採用の是非」を、20チームの投票にかけた結果は、賛成7、反対12、棄権1の反対多数だった。

賛成だったのはバイーア、ボタフォゴ、シャペコエンセ、フラメンゴ、グレミオ、インテル、パルメイラスの7チームで、反対はアトレチコ・パラナ、アトレチコ・ミネイロ、アメリカ・ミネイロ、セアラー、コリンチャンス、クルゼイロ、フルミネンセ、パラナ、サントス、スポルチ、ヴァスコ、ヴィトーリアの12チーム、採決前に席をたったサンパウロが棄権だった。
 
CBFは各チームに採用されるシステムについて充分に説明したが、「実施にかかる費用を各チームが年間100万レアル(約3500万円)ずつ分担する」事が賛同を得られなかったらしい。「費用の問題が大きかった、少しはCBFも負担してくれと訴えたが駄目だった」と語る会長もいた。

2016年6月にFIFAは、オーストラリア、ドイツ、ポルトガル、オランダ、アメリカ、ブラジルの6カ国に対し、「他の国に先駆けて、ビデオレフェリーを採用してもよい」との許可を出していたが、ブラジルはその中で唯一、今年の採用を行わなかった国となった。

去年大きな問題になった、コリンチャンスxヴァスコ戦でのジョーのハンドのゴールのあと、当時のCBF会長は「すぐにビデオレフェリーを始めろ!」と発言していたが、この国はつくづく、トップは思いつきで発言するし、「名目上、そうである」ことと「実質上、そうである」ことのギャップが激しい。 今年の採用は見送りとなった。(ただし、ブラジル杯の準々決勝以降は特別にビデオレフリーが採用されることとなった)

ブラジルも、世界中どこの国とも変わらず、誤審は多い。日本と大きく違うのは、解説者が中継のその場で、「完全な誤審です」と言い切るし、その後のサッカー情報番組でも問題のシーンは何度も、スロー、拡大加工付きで流される。 それに対する反応も日本よりずっと激しい。「こんなことが続くなら、試合する意味なんてない!さっさとコリンチャンスにトロフィーあげちゃえばいいじゃないか!」とはジョーのハンドの決勝点で負けた直後のヴァスコの関係者だ。

もちろんビデオレフリーの導入が、全てを解決するわけではないし、逆にビデオレフリーの導入のせいで本来なかったはずの問題が起きる可能性もある。 ただし、ビデオレフリーを導入していたほうが 全体の問題の総量としては、少なくなっていただろう。
今年も各チームの監督、会長、観客はミスジャッジにも大いに喧々諤々の議論をする事だろう。