ブラジルサッカー便り 

2014年よりブラジル、サンパウロ在住、サッカー大好きです。

ブラジル全国選手権1部第3節 サンパウロ2x0パルメイラス 

今日はブラジル全国選手権(ブラジレイロン)の第3節、サンパウロxパルメイラスの試合が、サンパウロ市西部のモルンビー競技場で行われた。

 

ここまでともに1勝1敗、のサンパウロ市を本拠とする両者の対戦には、choque rei (「ショキ・ヘイ」王の激突の意)の相性がついている。

サンパウロは一昨年まで現役だった、チームの伝説的GK、ロジェリオ・セニが率いているが、ここまでの調子は決して芳しくない。 ブラジレイロン開幕前に、ブラジル杯、サンパウロ州選手権、スダメリカーナ杯と3試合連続でトーナメント敗退の憂き目に遭い、ブラジレイロン開幕戦もAWAYでクルゼイロに敗れた。普通の監督なら、もうクビが危うくなるのがブラジルだが、ロジェリオ・セニの存在はチームにとって、サポーターにとっても重く、簡単に切れない。逆に切れないからこそ、「何が何でも立ち直ってくれなくては困る」のが首脳陣のジレンマ、前節のHOMEアヴァイー戦に勝ち、やっと一息ついたところで今日の試合は、今年断トツの優勝候補パルメイラスだ。

 

パルメイラスは、強豪チームの定め、過密日程に苦しんでいる。ブラジレイロン開幕戦のHOMEヴァスコ・ダ・ガマ戦を4-0で勝った時には、「優勝した去年に続いて今年も強いぞ!」の声が出た。しかし、すぐさまブラジル杯や、今年最優先の大会、リベルタドーレス杯の試合が平日にあったため、ブラジレイロン第2節にはまるごと2軍を送り込まざるを得ず、AWAYシャペコエンセに負けて今日の試合を迎えた。

 

6万人収容のモルンビスタジアムは、アクセスが悪く、またサンパウロファンはちょっと負けるとすぐ応援に来なくなる。 折角のダービーなのに、ファン同士の抗争が危険でAWAYパルメイラスサポーター入場禁止の中、半分ほどの入りで試合は始まった。

 

前半スコアレスのこの試合が動いたのは後半だった。

後半17分にサンパウロのアルゼンチン代表、ルーカス・プラットがキーパーのニアを抜いて先制した。

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ちなみにこのプラットは、同じブラジルの強豪、去年まではアトレチコ・ミネイロにいたが、アトレチコにはもう一人フレッジという強力なFWがいたためサンパウロに放出された。欧州有名チーム所属選手だらけの、豪華絢爛なアルゼンチン代表FW陣でも、南米リーグ所属ながら、先発を張ることもあり、間違いなく、ブラジレイロン全20チームでもトップクラスの選手だ。

 

パルメイラスは、ブラジレイロンで優勝した昨年の戦力から、G・ジェズースはプレミアリーグのマンチェスター・シティに移籍してしまったが、その分、欧州から出戻りの元ブラジル代表ボランチ、フェリペ・メロや昨年のリベルタドーレス優勝チーム、コロンビアのアトレティコ・ナシオナルから、司令塔のベネズエラ代表ゲーラに、FWのボルハ(なんとパルメイラスが払った移籍金は10億円。南米チームは二桁億円だすのは相当珍しい)も補強。

この試合でも下馬評有利だったパルメイラスは、すぐさまPKのチャンスを得るも、キッカージェアンが枠を外す失敗。

 

後半38分にはプラットのパスから、今年売り出し中の若手、ルイス・アラウージョが決めて試合を決めた。

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これで3節終了してサンパウロは2勝1敗、パルメイラスは1勝2敗となった。 

今年のブラジレイロンは、「パルメイラス対残り19チーム」と称されるほど、パルメイラスの戦力が抜けている。 しかし、リベルタドーレス杯も同時に戦うパルメイラスの負わされている負担は大きい。また、昨年の強さ、補強の的確さ、そして一身上の都合で職を離れていたクーカ監督が、半年で「ちゃっかり」戻ってきたことで、スタートダッシュ失敗も、「良いハンデ」くらいなものだろう。

 

かたやサンパウロは、カップ戦を全て敗退し、過去5年ノータイトルなことから、「せいぜい中位」の声が大方だが、リーグ戦だけに戦力を集中できるし、腐ってもサンパウロ、伝統の力は侮れない。そして、今日1G1Aのプラットが継続的に活躍すれば、案外、来年のリベルタドーレス杯出場圏の上位6位以内確保もありうるのではないか?そんな自信を持たせるような今日のクラシコの勝利だった。