イケイケ!大言壮語のグレミオ監督レナト・ガウーショ
ブラジル南部の名門グレミオを率いる、レナト・ガウーショ監督
(Lucas Uebel / Grêmio FBPA)
元ブラジル代表の右ウイング、レナト・ガウーショを覚えているだろうか?1983年のトヨタカップにグレミオの一員として出場、ヨーロッパチャンピオンのハンブルガーSV相手に2得点を決め、グレミオを世界一に導いた選手で、主に80年代、ブラジル代表としても活躍し、1990年イタリアW杯にも出場している。
1999年に現役を引退してからは、監督を務めていたレナトが、キャリアを通じて3回目のグレミオの監督に就任したのは昨シーズンの途中、9月18日のことだった。
実は本名はレナト・ポルタルッピだが、レナト・ガウーショの呼び名で通っている。ガウーショというのは、グレミオが本拠とするポルトアレグレ市がある、ブラジル最南端のリオ・グランデ・ド・スル出身者につけられるあだ名(例 ロナウジーニョ・ガウーショ)で、彼がグレミオの監督になるのは3度目だった。
途中から監督に就任した2016年シーズンでグレミオをブラジル杯優勝に導き、今年はリオ・グランデ・ド・スル選手権(カンペオナート・ガウーショ)こそ振るわなかったが、ずっと重要な南米No.1を決める大会のリベルタドーレス杯では、グループ1位で16強入りを決め、開幕したばかりのブラジレイロンでも3節終了時で2勝1敗とまずまずの滑り出しだ。
現役時代もリチャード・ギア似の端正なルックスと、奔放な言動で注目を集めた彼は、今ブラジルで最も「おいしい」コメントがとれる監督だ。
例えば、代表の救世主チッチ監督は2014年、ヨーロッパに監督修行に出ている。その他にもブラジルにはない監督としての方法論を学ぼうと、ヨーロッパに見分を深めに行くブラジル人が出ている。 それに関して感想を求められると、「なんだありゃ?有名監督とツーショットとって、監督としてのハクをつけようってマーケティング目的か?何を学んできたのか、俺の目の前で証明してほしいね」 とうそぶく。
昨年の監督就任時に、1年ぶりの現場復帰のブランクについて問われ
「自転車の乗り方を忘れることなどないと同じ、俺はサッカーを忘れることはない」と語った。
ちなみに、彼はそのブランクの間に欧州に研鑽になど行かず、自宅のあるリオでのんびり過ごしていた。 筆者はコパカバーナビーチで仲間とフットバレーに興じるレナト・ガウーショを見つけ、握手を頼んだら断られた経験がある。
最近のケッサクコメントは、「自分を良い監督だって思うかって?」「いいや、俺は自分のことを『凄く』良い監督だと思っている」というものだった。
昔は大勢いた、言いたい放題、品行方正とも言い難く、スキャンダルも多いが、プレーも凄い、ロマーリオやエジムンドのようなキャラクターが少なくなって久しいブラジルサッカー界にとって、貴重な存在だ。
世界一監督の首が挿げ替えられるのが早いブラジルで、この大言壮語のレナト・ガウーショはどこまで監督を続け、周りを楽しませてくれるのだろう?
もし、リベルタドーレス杯を制し、グレミオの選手としてもグレミオの監督としても南米王者なんてことになったらできすぎだが、結果は果たして…