ブラジルサッカー便り 

2014年よりブラジル、サンパウロ在住、サッカー大好きです。

ブラジル代表、チッチ体制10戦目にして初黒星、メルボルンでアルゼンチンに屈す

 

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メッシにタックルするブラジルのレナト・アウグスト
(Lucas Figueiredo/CBF)


 世界中でワールドカップ予選の行われる6月シリーズ、南米地区は予選がなく、各国それぞれに親善試合を組んでいる。
 
南米予選を独走し、4試合も残しての予選通過を決めているブラジル代表は、オーストラリア・メルボルンに遠征し、9日と13日にそれぞれアルゼンチン、オーストラリアと試合を行う。
 
来年、ロシアの地で6度目のワールドカップ優勝を果たすための貴重なトレーニングマッチのアルゼンチン戦が9日夜(現地時間・ブラジルでは同日の朝)に行われた。
 
2011年から毎年6~8月に試合をしていたネイマールや、6月3日にチャンピオンズリーグ決勝を戦ったばかりのレアル、ユーヴェ組を招集せず、レギュラー7人を温存してブラジルは臨んだ。
 
対するアルゼンチンは事情が異なる。現在南米予選でプレーオフ圏の5位に留まる上に、監督サンパオリの初陣とあって、メッシも、ディバラも、イグアイン、ディ・マリアなども温存なしでブラジルに襲い掛かった。親善試合いえども宿命のライバル、ブラジル相手に絶対勝って、8月末からの死闘に備えたかったのだろう。
 
結果は、前半終了間際にアルゼンチンがCKの流れから、DFのメルカドが挙げた一点を守りきり、1-0の勝利を手にした。
 
ブラジルの出来は決して悪くなかった。プレミア組のコウチーニョやガブリエル・ジェズース、ウィリアンが何度もチャンスを作るも惜しくも活かせず、ただし、大事なのはやはり「決めるか決めないか」ブラジルのマスコミは厳しいから、ネイマール抜きで負けたことを叩くかもしれない。
 
チッチは、コリンチャンスの経験から分かっていたけれど、スタメン選びも、交代策も保守的だった。交代は6人認められていたのに、交代させたのは4人だけ、「いずれ負ける日は来る、これはただの親善試合」とマスコミが大目に見てくれるんだから、もっと積極的にロドリギーニョ(コリンチャンス)やジエゴ・ソウザ(スポルチ・レシーフィ)などの国内組も使って欲しかった。
 
ウィリアンやダグラス・コスタは元から準レギュラー、ネイマールの穴埋めにそのまま使ったことは、筆者の目には平凡に映った。4日後のオーストラリア戦にはもっと思い切ったメンバー起用を求めたい。
 
ちなみに、今日のTV放送のスタジオ解説の一人はペレだった。
高齢で、股関節の持病から、ほとんど公の場に出ることの少ないペレは、ちょっと頭の回転も「スロー」になっている印象を受けた。
 
アナウンサーが「ここまで10分経過です、どう見ましたかペレさーん」とかなり〃大仰な〃振りをして初めて、思い出したかのように話していた。
それも「試合は互角」とか、当たり障りのないことばかり。

もう一人の解説者、デニウソンが、「右サイドをディ・マリアに狙われています、修正しなくてはいけません」などと、的確に間をつないでいるのが大変そうだった。
 
果たして、試合後にはブラジル人ジャーナリストが、「ペレの身近な人に、誰も『もう公の場に出るのはやめた方がいい』と説得する人がいないのは信じられない。もう解説は無理」
とツイートしており、大きくうなずいてRTしてしまった。
 
ということで、2戦目の筆者の注目は、連敗できないブラジルは、また保守的な選手起用に留まるのか?それとも大胆に多くの選手にチャンスを与えるのか?と、ペレの解説、放送事故は起きないか?である。