ブラジルサッカー便り 

2014年よりブラジル、サンパウロ在住、サッカー大好きです。

クビにできないはずの監督、あっさり解任

7月3日の昼過ぎ、ブラジルサッカー界に衝撃が走った。

サンパウロFCのロジェリオ・セニ監督が解任されたのだ。

 

1990年から2015年まで25年間チーム一筋でプレーし、GKとして、キャプテンとして数々の栄光をもたらしたセニは、2016年を欧州での監督業の勉強に使い、満を持してのサンパウロFC監督就任だった。

 

開幕当初のサンパウロ州選手権一次リーグでは好調で、特に攻撃陣の躍動が著しかったものの、次第に勢いを失っていくと、サンパウロ州選手権、ブラジル杯、スダメリカーナ杯と3試合連続でトーナメント敗退が続いた。普通の監督では解任論が出てくるものだが、そこはクラブ1000試合以上出場、100得点以上も決めているレジェンド、まだまだ監督の座は安泰だった。

 

5月に開幕した全国選手権でもなかなか調子に乗れず、若手の有望株、FWのルイス・アラウージョや、MFチアゴ・メンデス、DFリーダーのマイコンなどを欧州チームに引き抜かれ、先発布陣もなかなか定まらないチームは、2日のフラメンゴ戦に敗れると、遂に17位と降格圏内に沈んでしまった。解任までの今年の成績は35戦14勝11分10敗でとそれほど悪くないように思えるが、多くが全国選手権では1部に入れないようなチームから手にした、サンパウロ州選手権での勝ち星で、全国選手権に限ると3勝2分6敗だ。

 

引退したばかりのクラブのレジェンド的存在を監督にすると、人気は抜群なものの、経験不足が露呈すると一気にチームは苦しくなる。

 

下部組織の監督などから始めるのがベターだとは分かっているはずだが、ブラジルはそれが待てない。任せた以上、最低1年は辛抱すべきでも、それも辛抱できない。残されたのは、準備不足のままに監督になり、不名誉な戦績がトラウマになった新人監督。サンパウロFCでの存在が大きすぎて、他のチームで再起を図ることも難しい、堕ちたレジェンドだ。後任には、最近サントスFCを解任されたばかりのドリヴァル・ジュニオールが取りざたされているが果たして、、、