ブラジルサッカー便り 

2014年よりブラジル、サンパウロ在住、サッカー大好きです。

パルメイラス、リベルタドーレス杯の大事な試合を0-1で落とす。中心選手ゲーラが子供のプール事故で試合前に帰国

  4日から始まったリベルタドーレス杯決勝トーナメント。ブラジルからは最多6チームがベスト16に残っており、2013年アトレチコ・ミネイロ以来のブラジル勢優勝の期待も高まっている。

  なかでももっとも優勝の可能性が高いとされているのが、サンパウロ市に本拠を置くパルメイラスだ。トーナメント表を見ると、パルメイラスの1回戦の対戦相手として、「バルセロナ」の文字が目に入った。 バルセロナは1925年設立で、エクアドルリーグでもっとも古い歴史を持つチームの一つだ。1957年のエクアドルサッカープロ化以来、全てのシーズンで1部リーグに参加している。ホームのモヌメンタル・スタジアムは5万7千人収容のサッカー専用スタジアムを黄色に染めるサポーターの迫力は凄まじい。
 国内リーグ優勝回数も15回と最多で、リベルタドーレス杯では2回準優勝の結果を残している。グループリーグでは、ボタフォゴ、エストゥディアンテスなど、ブラジル、アルゼンチンの強豪と、さらにディフェンディング・チャンピオンのアトレティコ・ナシオナルを向こうに回し、堂々の2位通過を果たした。
  パルメイラスは直前の全国選手権でのグレミオ戦で、多くの主力を温存し、この試合にかけてきた。しかしはるばるエクアドルまで遠征した試合の当日の昼に大事件がおきた。中盤の司令塔、ベネズエラ代表MFのゲーラの3歳の息子、アッサエル君がサンパウロの自宅のプールで溺れ、命はとりとめたものの入院してしまったのだ。これによりゲーラはブラジルに緊急帰国し、パルメイラスは彼を欠いて試合に臨むことになった。
 ちなみに家族を何よりも大切にする南米の文化では、こうした事態が起こったときに選択の余地はない。詳細は明らかにされていないが、事故の事を知らされたゲーラはすぐに帰国を願い出ただろうし、チームも了承したはずだ。「命に別状なく入院してるんだろ。じゃあ今夜の試合に出場してから帰っても一緒じゃないか」とはならない。 この事態にブラジル全国選手権のライバルチームも次々とゲーラに励ましのメッセージを発表した。パルメイラスのライバル、コリンチャンスも例外ではない。
 試合は正直低調だった。前の試合、主力を温存して臨んでいるとは思えないほどで、スタメンのラインナップからおかしい。両サイドバックは本職の選手ではないし、ボランチも最近獲得したばかりで連携に不安のある選手、さらにゲーラがいないのはかなりの痛手だった。
 前半こそドゥドゥの長い距離のドリブルから、パスを受けたウィリアンが絶好機を迎えるもそれを外すと、南米クラブ間の移籍では破格の10億円の移籍金を払って獲得した、コロンビア代表FWボルハもサッパリ、次第にバルセロナにペースを握られていった。
 後半は足も止まり、広大なスペースがピッチのいたるところに出現、「高地のハンデ」かと思いきや、海抜2800メートル超のキトとは違い、グアヤキルは港町、酸素が薄いわけでもなさそうだ。
 「これは引き分けOKか」と思っていたところ、後半アディショナルタイム2分にバルセロナのジョナタンのシュートが、パルメイラスの選手の足に当たり、コースが変わってゴール右隅に吸い込まれた。
 試合はこのまま終了し、パルメイラスはアウェイの初戦、痛い星を落とした。
パルメイラスは一カ月後のリターンマッチで逆転を狙う