ブラジルサッカー便り 

2014年よりブラジル、サンパウロ在住、サッカー大好きです。

リベルタドーレス杯、優勝経験チームを次々倒すボタフォゴに注目

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6月4日のリオのクラシコ、ボタフォゴxフラメンゴ戦は0-0の引き分けに終わった(Gilvan de Souza / Flamengo)

 

 リオに本拠を置くボタフォゴというチームをご存知だろうか?1904年設立で、過去にはガリンシャやニウトン・サントス、ジャイルジーニョといったブラジル代表の名手も輩出した名門だ。最近では奥さんがブラジル人でもある元オランダ代表シードルフもプレーした。

 ブラジル全国選手権優勝は1968年と1995年の2回で、リオ州選手権は20回優勝している
 ホームスタジアムはマラカナンではなく、リオ五輪の陸上会場としても使われた、リオ市北部のニウトン・サントス競技場だ。
筆者はここには、2015年、ボタフォゴが2部だったときに1度だけ行った事があるが、とても試合が見にくい。陸上トラックのせいだけでなく、観客席の角度がなだらかで、バックスタンドから見ても相当の見づらさだった。ゴール裏からだとどんな視界になるのか、ちょっと想像できない。

 2014年に全国選手権1部で19位に沈み降格するも、翌年の全国2部では優勝し、16年からの一部復帰を果たした。
 一部復帰の昨シーズン、普通は残留が目標となるところだが、ボタフォゴは堂々の5位でフィニッシュし、今年のリベルタドーレス杯予備戦出場権を手にした。

 ジャイルジーニョの息子ジャイール・ヴェントゥーラが率いるボタフォゴは、リベルタドーレス杯予備戦で優勝経験チームのコロコロ(チリ)やオリンピア(パラグアイ)を撃破し、本戦1次リーグに駒を進めた。
 1次リーグでもボタフォゴのくじ運の悪さは変わらない。準優勝2回の強豪バルセロナ(エクアドル)、優勝経験のあるエストゥディアンテス(アルゼンチン)、前回優勝のアトレティコ・ナシオナル(コロンビア)と同居したグループを1位で抜けた。
 しかしというべきか、やはりというべきか、決勝トーナメントでも、優勝経験のある強豪が待っていた。ナシオナル(ウルグアイ)だ。6日に行われたナシオナルとのアウェイゲームをボタフォゴは1-0で勝利し、ベスト8入りに大きく近付いた。
 
 ボタフォゴの主力にはJリーグ経験者が並ぶ。FWのピンパォン(元セレッソ大阪、大宮アルディージャ)と、ロジェル(元柏レイソル)、MFにはドゥドゥ(元柏レイソル)の3人だ。 中盤の司令塔、今年1月の国内組オンリーのブラジル代表にも選ばれたMFカミーロ、現チッチ政権の前、ドゥンガが指揮するブラジル代表ではレギュラーだったGKジェフェルソンもボタフォゴ所属だ。

 ブラジル全国選手権と、リベルタドーレス杯を同時に戦うのは決して容易ではなく、ボタフォゴは全国選手権では4勝3分4敗の10位と、平凡な成績に甘んじているが、リベルタドーレス杯のベスト8進出が見えてきた現状では、クラブ史上初の南米制覇に焦点を合わせて戦うのも当然だろう。
 もし全国選手権で上位に入れなくても、リベルタドーレス杯で優勝すれば、来年もリベルタドーレス杯に出られるのだ。

 フラメンゴやヴァスコなど、荒くれ者のファンが多いチームとは違い、穏やかなファンが多い印象のボタフォゴを、筆者は「ブラジル勢が優勝するならボタフォゴがいい」と密かに応援している。