ブラジルサッカー便り 

2014年よりブラジル、サンパウロ在住、サッカー大好きです。

デルビーパウリスタ100周年、20歳の左サイドバック、アラーナの活躍でコリンチャンスがパルメイラスに勝利

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PKを獲得し、チームの2点目も決めた、大活躍の左サイドバック、アラーナ
(© Daniel Augusto Jr. / Ag. Corinthians)

 ブラジル全国選手権第13節、伝統のデルビーパウリスタ、ホームで28戦連続無敗のパルメイラスと、26戦連続無敗記録更新中のコリンチャンスの対戦が、7月12日夜にパルメイラスのホーム、アリアンツ・パルケで行われた。

Palmeiras x Corinthians - Campeonato Brasileiro 2017-2017 - globoesporte.com

 リーグ戦ここまで10勝2分で首位独走のコリンチャンスと、6勝1分5敗と波に乗れずにいるパルメイラスのこの対戦、コリンチャンスの圧倒的勢いを認めつつも、昨年王者で大型補強も行い、自力では勝るはずのパルメイラスが、ホームで戦うとあって、「両者拮抗」の予想が大半だった。
 試合は開始早々からパルメイラスペースで進む。高い位置からプレッシャーをかけてコリンチャンスを自陣にくぎ付けにした。 「試合を支配し、ボール保持率で上回り、シュート数も多く、敵陣で試合を進める」ことは普通ならパルメイラスペースだが、コリンチャンスのペースでもあった。コリンチャンスは10勝2分と驚異的な勝率を誇るものの、ボール支配で上回った試合は少ない。ディフェンスラインの4人、中盤の4人のブロックを自陣低めに構え、相手に決定機を許さずカウンターに賭けるスタイルで勝ってきたため全く動じない。
 パルメイラスは昨年猛威を振るった、左のドゥドゥ、右のグェデスの両ウイングにキレがなく、コリンチャンス陣を崩し切らずに上げたクロスも、安定感抜群のセンターバックにことごとく跳ね返された。
 すると前半22分、パルメイラスの左サイド深くに侵入したコリンチャンスのロメロのマイナス気味の折り返しに、攻撃的左サイドバックのアラーナが突進、遅れてボールにチャレンジしたパルメイラスの選手に倒されてコリンチャンスにPKが与えられた。

 これをジャジソンが確実に決めると、試合はまた、パルメイラスが攻めているように見えて、実はコリンチャンスペースの展開に逆戻りした。

 パルメイラスは後半開始早々からボランチを削ってFWを投入し、さらに攻勢を強めるが、コリンチャンスの守備は崩せない。逆に後半19分、またしてもロメロのパスに走りこんだアラーナが、直接シュートを決めてリードを2点に広げた。

 パルメイラスはその後もどんどん攻撃系の選手を投入するも、コリンチャンスは決定機を与えずそのままタイムアップ、パルメイラスにはホームアリアンツ・パルケで1年ぶりの敗戦、コリンチャンスは無敗記録を27に伸ばす結果となった。

 試合前に13ポイントだったコリンチャンスとパルメイラスの勝ち点差はこれで16に広がった。まだリーグ戦は25試合も残っているとはいえ、この差はあまりにも大きく、パルメイラスは、目標をリベルタドーレス杯に切り替えて戦うのもやむなしか。

 この試合大活躍のアラーナは東京五輪世代、U20ブラジル代表の選手で、昨年まではコリンチャンスの左サイドバックの控えだった。レギュラー選手が移籍して、スタメンに昇格した今年は大活躍を見せており、すでに欧州チームへの移籍の噂が絶えない。

 コリンチャンスは彼の移籍を何とか年末まで引き延ばそうとしているが、予断を許さない状況だ。若干20歳のアラーナは、18歳だった2年前のシーズンでもアリアンツ・パルケでのダービーで得点している。そのシーズンに「チームの中で一番年下だけど、気後れしない?」と聞かれ、「俺のほうが(年上の選手を)イジってる」と答えるほどの強心臓だ。

 これでシーズン3分の1の13節を終えて11勝2分のコリンチャンスは、1試合消化の少ない2位フラメンゴとの勝ち点差を12ポイントとし独走態勢を盤石なものとした。