ブラジルサッカー便り 

2014年よりブラジル、サンパウロ在住、サッカー大好きです。

「ゴールの前に『ゴール』と叫ぶな」 コリンチャンス、下位のアトレチコ・パラナエンセ相手にホームで痛い引き分け

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コリンチャンスのマルキーニョス・ガブリエル(手前)と激しく競り合う、元コリンチャンスで、2012年世界一の立役者、アトレチコ・パラナエンセの パウロ・アンドレ(奥)(© Daniel Augusto Jr. / Ag. Corinthians)

 

Corinthians x Atlético-PR - Campeonato Brasileiro 2017-2017 - globoesporte.com

 7月12日のパルメイラスとのダービーに勝利したコリンチャンス、11勝2分として、2位との勝ち点差も早くも10ポイント、加熱する雰囲気はちょっとした「ブーム」の様相を呈している。創立100年を超える歴史を持つ強豪に「ブーム」とは失礼かもしれないが、昨年後半、ちょっと成績が下がるとガラガラだったスタジアムが、15日のアトレチコ・パラナエンセ戦では、ブラジルの物価の感覚ではかなり高価に設定されている指定席も含めて完売したことに嫌味の一つも言いたくなる。「強い時だけじゃなくていつも応援しましょうよ」と。

 

 さて、ブラジルでは「ゴールの前に『ゴール』と叫ぶな」とよく言われる。 

 最大手TV局グローボの名物アナウンサー、ガルボン・ブエノさんが、「オリャ・ゴル、オリャ・ゴル、オリャ・ゴル、、、ゴー―――――――――ル!」(さあ、ゴールだ、さあ、ゴールだ、ゴー―――――ル!)と叫ぶ実況を売りにしていて、それを真似たのか、絶好機やシュートの時に「ゴール!」と叫んでしまう人がいる。それで実際に点が入らないと、周りから「(入らなかったのは)お前のせいだ!縁起が悪い」と怒られるまでがお決まりのコントのような光景がスタンドのあちこちで繰り広げられる。

 敵地ダービーの勝利の勢いのままに、下位相手のホーム戦でも勝ちたかったこの試合、思わぬ抵抗に遭い先制を許すも、すかさず同点、さらに逆点した。押せ押せの流れの時に、3点目、2点差に突き放す追加点が欲しい展開で何回もコリンチャンスがチャンスを迎えるたびに、僕の隣の人が、ゴールの前に「ゴール」と叫び続け、実際には惜しくも入らない展開が続き、周りがイライラし始めた。

 さすがに彼の隣の人が「お前ゴールの前にゴールと叫ぶな」と注意するも、ブラジルでは、空気が読めない人は徹底して読めないし、お馬鹿さんは徹底してお馬鹿さん、「でも、あれが入ってれば本当にゴラッソ(ファインゴール)だったんだぜぇ」と、何で怒られているかわからない様子。「だからそのタラレバがダメだってのに…」 

 案の定後半30分過ぎに敵のシュートをセンターバックが頭でクリアしようとしたらボールは不運にもゴールに転がり同点、独走態勢をさらに固める勝利は掴めなかった。

 サッカー場で生で試合を見る興奮は何物にも代えがたいものがあるけれど、隣が「残念」な人に当たる可能性は常に存在する。今日の「ゴールの前にゴール」君や、大声でコールして、周りが乗らないと「お前らはミーハーファン!声出せこの野郎!」みたいなことを言う人は、ブラジルにもいる。ゴール裏は自由席なので移ればよかった。