スタジアムに持ち込めないもの
伝統のサンパウロ、移民ダービーはポルトゲーザが勝利した
(Léo Pinheiro/C41Estudio)
16日日曜に、所要があって高速バスターミナルに行くと、そろいのエンジのシャツを着て、ブラジルでは非常に珍しいマスクをし、棒や石を手に持ち歩く集団を見かけた。
胸のJの文字から、サンパウロ市モッカ地区に本拠を置く、ジュヴェントゥスのファンの集団だとすぐに分かった。その日は近くのカニンデ競技場で、コパ・パウリスタ予選リーグの、ポルトゲーザ対ジュヴェントゥスのポルトガル対イタリアの「移民ダービー」が行われる日だった。
6月30日のポルトゲーザの悲劇 - ブラジルサッカー便りでも説明したとおり、コパ・パウリスタは、全国4部にさえ出られないチームが、「州の大会が終わり、下半期に試合がないのは不憫だ」と作られた大会。
「小さなチームのファンが、そう粋がりなさんな、戦争ごっこと勘違いしなさんな」と思ったが、過激なファンはチームがビッグであるかどうかに関わりなく存在し、むしろ小さなチームになるほど、先鋭化する傾向がある。
チケット全席700円で、スタンドもガラガラのこんな試合だが、困った人たちがいるから、軍警も警備の人員や車両を割かざるを得ない。翌日のニュースに、「ジェヴェントゥスファンが、ポルトゲーザファンを襲撃」のニュースが載ることはなかったから、彼らも棒切れや石を取り上げられて、おとなしく試合を見たのだろうと思いたい。
さて、ブラジル・サンパウロ州では、スタジアムに持ち込めない物がとても多く、来たばかりの頃は面食らった。傘は当然禁止で、竿つきの旗も駄目、紙ふぶきもダメ、仕事から直接駆けつけた時、お弁当のフォークも捨てさせられたし、ポルトガル語の辞書も捨てられそうになったので、「辞書をどうにかするわけがない。武器にもしないし、ページを燃やしたりもしない。お願い、お願い」とやったら目こぼししてもらえた。
両チームの予想フォーメーションや出場停止選手の情報が欲しくて、試合前に買ったスポーツ新聞をズボンの後ろポケットに入れていたら、「紙は一切ダメだ、なんで隠していた?」と言われ、「隠すってより、ダメとは知らなかっただけです」と返答し、すぐ捨てて入場した。
毎週のようにサッカーにからんだ暴力事件が発生するこの国では、「スタジアムは、ブラジル社会の縮図、国民全体の教育レベルを上げないと仕方がない」とした学者さんの意見が新聞には載っている。
それは本当にごもっとも。分かっているんだから早くなんとかしてくれないかなあ。