ブラジルサッカー便り 

2014年よりブラジル、サンパウロ在住、サッカー大好きです。

大会を乱造するブラジルと、「タイトルはタイトル」主義

6月29日のブラジルリーグの仕組み - ブラジルサッカー便りでも、ブラジルは世界でも珍しく、州選手権を行っている国だと語った。

実はそれだけではない。ブラジルは今も昔もヘンテコな大会を開き、そこでの優勝を「タイトルだ!」と過剰に騒ぐ傾向がある。

 例えば、地方別選手権、北東部各州のチームが参加するコパ・ノルデスチ(北東部カップ)

北部、中西部と、強いチームだらけの南東部で蚊帳の外のエスピリト・サント州のチームが参加するコパ・ヴェルジ(緑のカップ)

サンパウロ州を除く南東部と、南部各州チームが戦うプリメイラ・リーガなどがある。

サンパウロ州選手権1部で、一次リーグの結果、決勝トーナメントには残れなかったが、降格するほどでもなかったチームで戦うコパ・インテリオール(内陸部カップ サンパウロ市周辺以外の諸都市をざっくりと内陸部と呼ぶ)

リオ州選手権1部は、前半戦をグアナバラ杯、後半戦をリオ杯と呼び、トロフィーを与えてもいる。肝心のリオ州選手権決勝は、前半戦の勝者、後半戦の勝者の間では争われず、前後半トータル成績の上位4位チームで決勝トーナメントを行うため、今年のリオ州選手権は、グアナバラ杯、リオ杯の優勝チームとはまた別のチームが制した。 

他のほとんどの国のように、全国リーグ戦、全国トーナメント戦、大陸規模の大会だけで良さそうなものだ。百歩譲って伝統の州選手権を残すとしても、これほどまでにXX杯優勝が頻出すると、興ざめだ。 

1987年にはCBFと対立した主要13チームだけでコパ・ウニオンを開きフラメンゴが優勝、同じ年に主要13チーム抜きのCBF主催大会で優勝したスポルチと、その年は優勝チームが2つ出てしまった。

1967年には、パルメイラスが、南米規模の大会、リベルタドーレス杯にブラジルを代表して出場するチームを決めるためのタッサ・ブラジルと、1967年から1970年までだけ行われたロベルト・ゴメス杯両方に優勝し、現在9回と数えられている、パルメイラスのブラジル全国選手権優勝の内、2回は同じ1967年のものだった。

 スルガ銀行杯についても考えてみてほしい、日本のリーグカップ(元ナビスコ杯、現ルヴァン杯)優勝チームと、南米で2番目の大陸大会であるスダメリカーナ杯の勝者が、日本チームのホームで一発勝負で戦う大会だ。何か燃える気持ちになるだろうか?普通はならないが、スルガ杯に出てくる南米チームは毎年真剣だ。

これは、ブラジル人、南米人である彼らにとっては、サッカーは生活の糧。「冠スポンサーがついて、賞金が出る大会は、何でも本気で戦い、勝つ」と思っているからではないだろうか。

 2004年までのトヨタカップ時代も、今のクラブワールドカップも南米チームのほうが、よほどヨーロッパチームより熱意を入れて戦うのは、これはタイトルマッチ、ヨーロッパがいくらチャンピオンズリーグのおまけ程度にしか思ってなくても、一発勝負に勝ってしまえば、「優勝したのは俺ら、お前らは負けたの。世界一は世界一、タイトルはタイトル」と言い張ることが出来るからではないだろうか?

 僕はクラブワールドカップに関しては基本的にこの考え方に賛成で、欧州チームの鼻を明かしてほしいと常に思ってはいるが、トーナメントの乱造は、いたずらに試合数が増え、選手の疲労もたまり、試合の質が保てなくなるので反対だ。ちょっと調べてみたら、もう12月のシーズン終了まで、代表ウィークを除けば、1部リーグ、ブラジル杯、リベルタ杯、スダメリカーナ杯の何もない平日というのは存在しないことがわかり驚愕した。ブラジル杯と、大陸選手権を両方戦うチームの負担は想像を絶する。