ブラジルサッカー便り 

2014年よりブラジル、サンパウロ在住、サッカー大好きです。

 リオ・デ・ジャネイロ、マラカナンアウェイ観戦記 ~チケットゲットに散々苦労も、最後は勝ってご満悦~

 

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(Rodrigo Gazzanel/Agencia Corinthians)値千金の決勝点をたたき出したコリンチャンスCBのバルブエナ
 
 僕のヤキモキは試合の数週間前、23日のフルミネンセxコリンチャンス戦の試合会場がリオの北の辺鄙なスタジアムに予定されていたことから始まっていた。
 リオのマラカナンスタジアムは、設備もよく、大観衆を収容できるのだが、使用料が高く、今年フルミネンセはリオの北のメスキータにある、アメリカというチームのスタジアム、ジュリエッテ・コウチーニョを基本的にはホームとして間借りしている。 ここは昨年訪れたことがあるが、ボロボロで、アクセスも悪く、収容人員数も1万5千そこそこと狭い。このスタジアムがそのまま使われるなら、リオに行くのはやめようと思っていた。
 しかし、試合の2週間ほど前、フルミネンセがコリンチャンス戦をマラカナンで開催すると決定し、俄然胸は高鳴った。2年ぶりのマラカナンだ。これは絶対に行こうと決め、バスや宿は簡単に手配できたが、次の問題はチケットだ。 フルミネンセは23日のコリンチャンス戦直前の、20日にもホームゲーム(メスキータでのクルゼイロ戦)を開催予定で、チケット販売情報は18日になるまで、クルゼイロ戦だけしか出なかった。
    
 せっかくマラカナン開催の首位コリンチャンス戦なのに、もっと早くからチケット情報告知して、ホーム側もアウェイ側もバンバンチケットを売るべきとは思ったが、ここはブラジル、日本のように、2カ月も前の試合のチケットが日本中でコンビニ発券できるシステムなど存在しない。
 19日にようやく出た、「アウェイゾーンのチケットは50レアル、試合当日の朝10時から、スタジアムの4番ゲートで売りだす」との情報を信じて、チケットもないままに金曜夜の夜行バスに飛び乗った。
 リオに来るのは今年2月のカーニヴァル以来で、コリンチャンス戦を見にくるのはこれが5度目だった。 初めて来たのは2014年の終盤で、フルミネンセ(マラカナン)相手に2-5の負け、次は2015年のシーズン初め、フラメンゴ戦(マラカナン)は0-0の引き分けだった。その年の11月、休みをとって、平日開催のヴァスコダガマ戦(サンジャヌアリオ・スタジアム)では優勝を決めるも、試合自体は1-1の引き分けだった。去年はフルミネンセとのカップ戦、1-1の引き分けと、これまでリオでのコリンチャンス観戦は3分1敗の勝ちなしだった。
 コリンチャンスもこの試合まで連続引き分けの上、直前のアヴァイー戦では負傷者2人と、さらに出場停止も1人でて、満身創痍。何とか勝ってほしいとの思いはとても強かった。
さて、絶対に長蛇の列が出来ていると思い、販売開始1時間前の9時にスタジアムの4番ゲートに着くと、「ここでは13時からしか売らない事になった。隣の1番に行け」と言われた。 直前の変更はよくあるが、その場でスマホで確認しても「10時から4番ゲート」とかかれたまま。間違った情報を公式サイトに載せたままで直しもしないのはブラジル流だ。
 1番ゲートに行くとコリンチアーノたちが何人か並んでいた。かなり前に並べたが、売り場窓口は1つしか空けないし、手際も日本に比べてめちゃくちゃ悪く、かなり待たされた。列の後ろの人が思いやられると思ったが、最終的には買えたようだ。
 さて、「宿を8時に出て、9時にスタジアムに着き、10時半にチケット購入、することもないので12時に宿に戻り、2時まで休憩、またスタジアムに向かう」という、非常に効率の悪い事をしなくてはならかなったが、チケットをその場で買おうと、試合のちょっと前にスタジアムについてもチケット売り場は大混乱、挙句の果てに自分の前で売り切れ、しかたないからホームの券を買おうとしても、脱いだコリンチャンスグッズをカバンに隠して持ち込むこともできない。チケット買えなかったコリンチアーノが暴れ出して、警察がバンバン催涙弾を打ち込む…なんて展開も容易に想像できるので、こうするしかなかった。
 ネットで予約しても、バウチャー引き換え窓口が1つしかなく引き換えに戸惑って…で以下同じ展開になんてこともありうる。ブラジルではこのようにアウェイの試合のチケットを買うのも一苦労だ。
 チケットを買いに、ではなく試合を観戦しに、この日2度目のマラカナン行き、地下鉄の車内はフルミネンセのファンで埋まっていた。カバンにコリンチャンスのユニフォームを隠し、アウェイサポーターゾーンに行くと、またしてもブラジル流、アウェイゾーンがかなり狭く設定されていた。おそらくチケットも限界まで売っている。階段のすぐ隣に座った僕のスペースに侵入してくる輩には閉口だったが、彼も同じコリンチャンスを愛する仲間、ゴールシーンでは共に喜んだ。
 後半に入ると、覚悟はしていたが、魔のアナウンスが流れた。「ビジターチームのファンは後半40分までに退場するか、試合後、フルミネンセファンが全て退場した後の退場となります」だ。3年前の2-5の時にこれは経験している。1時間の足止めだ。また、コリンチャンスの直近のマラカナンでの試合は、僕は行かなかったが昨年11月のフラメンゴ戦、フラメンゴファンとコリンチャンスファンが衝突し、逮捕者も出た。1時間後に全員帰してもらえなかった。 今回はフルミネンセファンと、コリンチャンスファンの間には広大な無観客スペースが広がり、喧嘩の発生する余地などないのは明らかだったが、もし試合を最後まで見て、万が一変なことに巻き込まれたら大変と、後半38分でスタジアムを後にすることに決めていた。
 皆さんはやったことあるだろうか、1-0と勝っていて、試合状況から確実にアディショナルタイムは5分以上取られるのに、後半39分にスタジアムを後にするなんてことを…
 僕はやった、やらざるを得なかった。マラカナンは非常に外周が広く、駅までに歩くのに5分以上かかり、改札付近に着くとフルミネンセファンの歓声が駅まで届いた。 慌ててスマホで確認するが、スコアは変わらない。後で確かめると、フルミネンセのゴールがオフサイドで取り消されていた。 帰りのサンパウロ行きのバスターミナルで観戦に来ていた友人にバッタリ会い、38分で出たことを告げると、「なんてもったいない、あのあと、GKのビッグセーブが2回もあったぜ。もちろん試合後1時間出られなかったけど」と言われた。
 リオでは今年もフラメンゴxボタフォゴや、フラメンゴxヴァスコの際にファンに死人が出ているので、極力コリンチャンスグッズを露出しないように気を付けてはいたが、バスターミナルではコリンチアーノの同胞が、これ見よがしにコリンチャンスユニフォームを着て闊歩していた。僕に絶対できない。