ブラジルサッカー便り 

2014年よりブラジル、サンパウロ在住、サッカー大好きです。

全国選手権2部セリエB 一年で1部セリエA復帰が至上命題のインテル、思わぬ苦戦

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16節終了で6位と苦戦のインテル、1部昇格条件の4位以内に入れるだろうか?(Ricardo Duarte/SCI) 

 ブラジル全国選手権2部は、1部と同じく20チームが所属し、ホームアンドアウェー2回戦総当たりのリーグ戦で競う。

 ブラジルでは、サンパウロ、コリンチャンス、サントス、パルメイラスの「サンパウロ4強」と、フラメンゴ、フルミネンセ、ヴァスコ、ボタフォゴの「リオ4強」に、ミナス・ジェライス州ベロ・オリゾンチのアトレチコ・ミネイロと、クルゼイロ、リオ・グランジ・ド・スール州ポルト・アレグレのインテルとグレミオをまとめて「12強」という言葉がある。(「強」って付けるならもっと絞って欲しい所ではあるが) 毎年どこかが不調に陥り降格し、12強が1部にすべてそろうことはまれだが、去年はインテルが「まさかの降格」の役回りとなった。ちなみにインテルはサンパウロ、サントス、クルゼイロ、フラメンゴらと共に、「2部落ち知らず」でもあったのだがその記録も途切れた。

 20チーム中上位4チームも上がれるブラジルの2部、当然インテルは1年での1部復帰、それどころか2部の優勝が義務付けられていたが、どうもそう話は順調に進んではいない。

 古巣の苦境を救うため、元アルゼンチン代表のダレッサンドロが男気を見せてチームに復帰、昨年の1部得点王のポッチケも1部のポンチ・プレッタからわざわざ加入と、圧倒的な戦力を誇るが、16節終了時での成績は6勝6敗4分の6位と振るわない。

 監督のアントニオ・カルロス、「ザーゴ」は開幕早々に解雇され、後任には昨年バイーアを1部昇格に導いた、グト・フェレイラを引き抜いた。

 2部のチームがシーズン途中に、1部のチームの監督を横取りしたのだ。これだけで、インテルというチームのプレステージの高さと、ブラジルでの、良い人材を集めるための「仁義なき戦い」っぷりがわかるというもの。

 それでもチームは勝ったり負けたりを繰り返し、昇格ゾーンにも入れずにいると、今度はさらに、1部のボタフォゴからカミーロ、フラメンゴからレアンドロ・ダミアォンと代表経験のある選手を獲得した。

 基本的に2部リーグには首位を独走するチームは現れにくく、(だってそれなら去年1部から落ちていないか、去年の内に1部に上がっているから)4位までハードルを下げると勝率はかなり低くなり、10位くらいまでは、勝ち点6程度の差(つまり2ゲーム差)で最後まで行くのが通例だ。今年のブラジル2部もその例に漏れないとするならば、まだ全38節の半分も消化していない今、インテルにも十分に昇格のチャンスはある。

 あくまでネームバリューでは他を圧倒しており、急遽の就任となったフェレイラ監督がチームをまとめ上げることが出来れば、心配することはないはずだ。

 しかし、1つの敗戦にファンもメディアも過剰に騒ぐブラジルでは、すでにホームで負けたチームのバスを取り囲んだり、スタジアムで破壊行為を行うファンも出てしまった。 これで、ホームスタジアム閉鎖とか、遠隔地開催の罰則なんてことになったらますます昇格のチャンスは遠のく。 過去11年に2回もリベルタドーレスを制したチーム、同じ街のライバルグレミオが1部リーグでもブラジル杯でもリベルタドーレス杯でも順調に勝っていることがますますインテルファンをいらだたせるかもしれないが、ここはこらえて、辛抱強く支えて欲しい。 僕も来年はW杯開催スタジアムでもある、ベイラ・リオに行ってみたいので、インテルの1部復帰を望んでいる。