ブラジルサッカー便り 

2014年よりブラジル、サンパウロ在住、サッカー大好きです。

後半39分からの大逆転劇、サンパウロFC新加入エルナネスのデビュー戦を4-3の勝利で飾る

Botafogo x São Paulo - Campeonato Brasileiro 2017-2017 - globoesporte.com

 不調に陥っていたサンパウロFCが、アウェイのボタフォゴ戦、しかも後半39分まで1-3で負けていたのを一気の3得点でひっくり返して勝利し、復活の狼煙を上げた。

 日本のサッカーファンにとって一番有名なブラジルのチームと言えば、コリンチャンスでもサントスでも、フラメンゴでもなく断然サンパウロFCだろう。1992、93年のトヨタカップ連覇、2005年もクラブワールドカップ制覇と、3度の世界一はすべて日本でのことだし、人気漫画キャプテン翼でも、主人公の翼君は一時期サンパウロFCでプレーしている。

 最近ではイマイチブラジルリーグでの存在感が薄かったが、それでも、フラメンゴ、サントス、クルゼイロと共に「2部落ち知らず」を誇る名門、昨年はリベルタドーレス杯で4強にも入っている。

 そんなサンパウロFCは、2015年までの25年間、クラブ一筋でプレーしたのちに、引退していたレジェンド、ロジェリオ・セニを監督に迎え、そのお披露目試合ではホームモルンビースタジアムに5万人を超す観衆を集めるほどだった。

 現役アルゼンチン代表と、ブラジル国内ではもっとも国際的評価の高いFW、ルーカス・プラットを獲得するなど、決して戦力は他のチームに劣らないが、不安定な守備や、相次ぐシーズン途中の有望若手選手放出などでチームは混乱、全国選手権で2部降格圏内に沈むと、ロジェリオ・セニをあっさり解任し、後任には前サントス監督のドリヴァル・ジュニオールを迎えていた。

 同監督の就任後も中々結果が出せずにいると、今度はシーズン途中の補強で、2014年ワールドカップのブラジル代表メンバーだったエルナネスを中国リーグのチームから緊急で補強と、なりふり構わず1部残留を目指していた。

 そんな中迎えた29日の17節ボタフォゴ戦は、エルナネスのデビュー戦だった。この試合は、サンパウロFCの司令塔、ペルー代表クエヴァが前半17分に相手DFとGKの連係ミスをついて先制した。 しかしリベルタドーレス杯でも16強に残り、全国選手権でも7位につけるボタフォゴは19分、25分と連続でマルコス・ヴィニシウスが得点し、あっさり逆転する。

 後半20分にエルナネスがセンターサークル内から絶妙なパスを前線に送り、それを受けたFWウェリントンが倒されPKを得るもこれをクエヴァが失敗、その直後にカウンターから失点を喫し、1-3。

 同点に追いつく絶好機を外した直後に2点差に突き放され、ここで気持ちが切れてもおかしくなかったが、サンパウロFCはここから反撃した。39分にCKから1点差につめよる2点目を新加入のマルコスが決めると、41分にはゴール前の混戦からエルナネスが押し込んで同点とした。エルナネスは、最初のシュートと、その跳ね返りを決めたシュートは、左右別の足で蹴っており流石の能力の高さを示した。

 こうなると押せ押せのサンパウロは、後半アディショナルタイム2分に、クエヴァがセンターライン右からの長いスルーパスをマルコスに通し、これを落ち着いて決めて4-3の大逆転勝利を収めた。

 サンパウロFCはこの勝利で暫定15位に浮上。今後日曜、月曜の他会場の結果次第では降格圏脱出の可能性もある。

 もともとFWプラット(アルゼンチン)、MFクエヴァ(ペルー)、DFカイオ(ブラジル)など、代表経験者を何人も揃え、緊急補強では大物エルナネスを獲得、監督のドリヴァルも前職のサントスでは素晴らしい仕事をした人物だ。 幸か不幸か、前半戦の不振から、国内、国際カップ戦にも残っておらず、他のチームよりは日程面で若干の余裕もある。6位の来期リベルタドーレス出場権獲得圏内入りも充分に可能だ。