ブラジルサッカー便り 

2014年よりブラジル、サンパウロ在住、サッカー大好きです。

なるか一発逆転? 全国選手権でコリンチャンスに水をあけられ、リベルタドーレス杯にかけるパルメイラス

f:id:kimio_ido:20170810043458j:plain

追い詰められたパルメイラスのクーカ監督、リベルタドーレス杯ベストエイトへ、逆転突破はなるか?

(Cesar Greco / Agência Palmeiras / divulgação)

 
 今年のブラジル全国選手権は、まだ前半19試合が終わったばかりなのに、首位コリンチャンスが独走し、2位以下に大きく水を開けている。
  勝ち点12ポイント差の3位サントスFCのレヴィー・クルピ監督が「もう全国選手権は諦めた」と白旗をあげたように、実際のところ、全国選手権の優勝の可能性は、せいぜい8ポイント差で2位のグレミオまでしかないというのが大勢の声だ。
 しかし、全国選手権よりずっとプレステージの高いタイトル、南米No.1を決めるリベルタドーレス杯(以下「リベルタ」)で優勝し、今年の主役の座をかすめとるチャンスが、未だ6チームに残っている。 

 今大会ブラジルからは8チームが出場し、グレミオ、アトレチコ・ミネイロ、パルメイラス、サントスFC、アトレチコ・パラナエンセ、ボタフォゴの6チームがベスト16に残っている。
 コリンチャンスとの勝ち点差は大きいとはいえ、全国選手権2位のグレミオ、3位のサントスFC、4位のパルメイラスなどはまだ少しはましといえるが、アトレチコ・ミネイロに至っては14位、降格ゾーンの17位サンパウロFCとは4ポイント差だ。
 流石に2部に降格してはダメだが、リベルタで優勝しさえすれば、2017年はコリンチャンスの年ではなく、リベルタ優勝チームの年と後々振り返って語られることになる。まぐれでもなんでもいいからクラブワールドカップで優勝すれば、それこそ伝説だ。
 リベルタ優勝チームには来年のリベルタ出場権も与えられるため、本当に全国選手権は「降格さえしなければ良い」ということになる。
 さて、今年のリベルタに並々ならぬ意気込みで臨んでいるチームがある。それは昨年全国選手権優勝のパルメイラスだ。
 圧倒的な強さで昨年の全国選手権を制覇したパルメイラスは、エースのガブリエル・ジェズースこそマンチェスター・シティに移籍してしまったものの、昨年のリベルタ優勝チーム、コロンビアのアトレティコ・ナシオナルからエースFWのボルハ(コロンビア代表)と、中盤の司令塔ゲーラ(ベネズエラ代表)を獲得、さらに元ブラジル代表のフェリペ・メロやミシェル・バストスまで獲得し、南米版銀河系軍団と呼ばれる程だった。
 ヨーロッパのサッカーに詳しい人は笑わないで欲しい、 キーパーに、怪我さえなければブラジル五輪代表にオーバーエイジで出ていたはずのプラス、DFラインは左からゼ・ロベルト(元ブラジル代表)、ドラセナ(元ブラジル代表)、ミナ(コロンビア代表)、ジェアン(昨年のベストイレブン) ボランチにフェリペ・メロ(元ブラジル代表)とモイゼス(昨年MVP級の活躍)2列目は左からドゥドゥ(国内組限定で代表を組めばブラジル代表)、ゲーラ(ベネズエラ代表)、グエデス(昨年ベストイレブン級の活躍)1トップにボルハ(コロンビア代表)と並べ、控えにも代表経験者をそろえる陣容は、間違いなく南米銀河系軍団といえた。 「サンパウロ州選手権や全国選手権なんて2軍を出しても勝てる。今年の目標、いやノルマはリベルタ優勝」との前評判さえ出るほどだった。
 しかし、今年のパルメイラスは、歯車がかみ合わず、ここまで来てしまった。皆が留任を望んでいた昨年の優勝監督クーカが「個人的理由」で職を離れると、若手監督のホープ、エドゥアルド・バチスタ(日本でのキャリアが長い、ネルシーニョ監督の息子)を据えるも、今年初めのサンパウロ州選手権でモイゼスが全治5カ月の重症を負い、チームの歯車が狂い優勝を逃すと、成績も試合内容も期待はずれだとエドゥアルド・バチスタを解任、半年で「個人的理由」が片付いたクーカを呼び戻すも、今度は全国選手権で負けが続き、国内のカップ戦でも敗退。アクの強いフェリペ・メロとクーカは喧嘩となりフェリペ・メロはチーム追放。全国選手権では、宿敵コリンチャンスとの差は15ポイントだ。
 だからこそ、リベルタではなんとしても優勝しなくてはならないのだが、決勝トーナメント1回戦の相手はエクアドルの名門、バルセロナ・デ・グアヤキル、アウェイのファースト・レグを0-1で落としたパルメイラスは、今夜のホームでのリターンマッチで、なんとしても勝って逆転突破しなくてはならない。
 パルメイラスは直前の日曜の全国選手権の試合を11人全員サブを並べて戦い敗れた。さらにクーカ監督は選手たちに帰宅を許さず、サンパウロ北に65キロのアチバイア市で合宿を張ってこの試合に臨む。
 面白かったのは、あるサッカー記者の「パルメイラスはリベルタ8強入りを決められれば、ほんの少しの安堵。でも負ければあんなに金を使ったのに今年の無冠決定で破滅だ」というツイートだ。確かに、もしここで負ければファンやマスコミは蜂の巣をつついたような騒ぎになるし、「9日の試合が人生のかかった試合だと入れ込む事はない。結果がどうあれ人生は続くのだから」と語るクーカの去就さえ危うくなる。1999年以来のチーム2度目の偉業達成か?大型補強をしたのに無冠となってしまうのか?満員4万人のサポーターの後押しを受けての大一番は8月9日、今夜21時45分キックオフだ。