ブラジルサッカー便り 

2014年よりブラジル、サンパウロ在住、サッカー大好きです。

もう今年の全国選手権の優勝はコリンチャンスで決まり? まだリーグも折り返しなのに2位も、3位も白旗をあげる。

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1試合順延で、2週間丸ごと試合のないコリンチャンスは、連携を深め、体力を回復させ、怪我人も復帰してきた。一方2位以下のチームはコリンチャンスとの差を詰めるチャンスだったが、2,3,4位で勝ったチームは一つもなかった。(Daniel Augusto Jr. / Ag. Corinthians)

 

 12日から14日まで、ブラジル全国選手権1部第20節の、シャペコエンセxコリンチャンスを除く9試合が行われた。 シャペコエンセは15日に日本で浦和レッズとスルガ銀行杯を戦っており、13日の予定だったコリンチャンス戦が、21節と22節の間の平日23日に移動された。
 19節終了時点で、首位コリンチャンスの勝ち点は47で、2位以下のチームとの間には、大きな差が開いていた。
2位グレミオは勝ち点39で8ポイント差、3位サントスは勝ち点35で12ポイント差、4位パルメイラスは勝ち点32で15ポイント差だ。5連勝5連敗でようやく追いつくほどの差、勝ち点15差のパルメイラスは既に「来年のリベルタドーレス杯自動出場権獲得圏内確保を目指す」とクーカ監督が語り、勝ち点12差のサントスも、「(準々決勝に進出している)リベルタドーレス杯優先」とクルピ監督が公言。事実上のリーグ戦白旗宣言だった。サントスやパルメイラスは20節で共に引き分けと、試合のないコリンチャンスとの差をたったの1ポイントしか縮めることはできなかった。 
 唯一コリンチャンスとの勝ち点差一桁の2位グレミオも、9日のリベルタドーレス杯と、16日のブラジル杯にはさまれた13日の全国選手権では、主力を休ませざるを得ず、ボタフォゴに敗れると、「もう全国選手権は若手に切り替える」とレナト・ガウーショ監督が試合後に半ばヤケ気味に語った。 これで2位も降参だ。 
 
 コリンチャンスの試合が無かったのに、2位も3位も4位も勝てずに終わると、その直後のサッカートーク番組では、「いやー、2位も3位も4位も、試合の無かった首位コリンチャンスとの差を縮める事が出来ませんでしたねー。これは優勝を狙うには痛いですねー」ですらなく、
 「だいたい、ブラジル杯もリベルタ杯も、リーグ戦後半と重なっているのが悪いんだ。リーグ戦上位に来るようなチームはみんな、カップ戦でも勝ち残る可能性が高いから、試合が重なるときはリーグ戦に主力を使えなくなる」
とのトンデモ発言から始まった。 去年まではリベルタ杯は7月までに終わっていて、確かにリーグ後半とは日程が重ならなかった。ブラジル杯も2012年までは7月に終わっていたが、その時は「ブラジル杯もリベルタ杯も年の後半までまでやらないのは問題。だって、さっさとそこで優勝しちゃったチームは、来年のリベルタ杯出場権を手に入れて、全国選手権軽視になるから」と言っていたに違いないのだ。
 
 普段ブラジル国内サッカーの構造的問題を指摘して、「それに引き換えヨーロッパはどうだ?」と言っているコメンテイターたち、ヨーロッパだって、国内カップ戦も、国際カップ戦も、リーグ戦のクライマックスと日程が重なっているぞ。 どっちも参加しているチームは淡々と戦い、どっちでも優勝を争っているじゃないか。
 だいたい、ブラジルサッカー関係者に蔓延する、もう「優勝はコリンチャンスで決まり」「コリンチャンスが抜け出しすぎているせいでリーグ戦がつまらない」みたいな空気はなんだ? コリンチャンスは日程に恵まれたから首位にいるのか?断じて違う。首脳陣、監督、選手、サポーターを含む、チーム全体の努力の結果、首位にいるんだ。
    
 コリンチャンスだって、リベルタ杯よりは格が落ちるけれど、スダメリカーナ杯を同時に戦っているのに。 何より、まだ19試合もあるのにそんなこと周りから言われて、気持ちが緩んだりして、優勝を逃したら大変なダメージだ。 僕は、普段は2位との勝ち点差をいつも計算して、それを3で割って、「今何ゲーム差」とか、常に計算してるようなファンだが、今年はやめた。 他チームの潔くない振る舞い、監督による、サポーターを裏切るような言動を恥じ入らせるためにも、このままおごらず、一戦一戦大事に戦って、ぶっちぎりで優勝してやろう。 スダメリカーナ杯も優勝しよう。サンパウロ州選手権から8試合続く、今年のクラシコ無敗も継続しよう。特にパルメイラスには3連敗喰らわせてやろう。例えどれだけ早くリーグ優勝が決まっても、消化試合も応援に行ってやるぞ。