ブラジルサッカー便り 

2014年よりブラジル、サンパウロ在住、サッカー大好きです。

3部昇格ボーナスは7千円! ブラジルの僻地アクレ州のチーム、アトレチコ・アクレアーノが、全国選手権3部に昇格。

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アクレ州のチームとして初めて全国3部昇格を決めたアトレチコ・アクレアーノ

(同チームフェイスブックより)

  ブラジルでもっとも過酷と言っても過言ではない、ブラジル全国選手権4部リーグ。参加68チーム中、来年3部にあがれるのは僅か4チームの大会で、見事準決勝、ベスト4に進出し、3部の昇格切符を手に入れたアトレチコ・アクレアーノ(AA)を紹介したい。

 

 AAはブラジルに無数に存在する、小規模チームの見本となるチームだ。アクレ州はブラジルの北西の端に位置し、ボリビアやペルーと国境を接している。首都ブラジリアからは2時間も時差があり、州庁所在地リオ・ブランコでも人口は40万人程、AAはリオ・ブランコを本拠としている。

 

 AAは、全選手の月給を合わせても、6万レアルにしかならず、1人あたり2千レアル(7万円)ほどだ。多くの選手がサッカー以外に仕事を持っている。サイドバックのジャヌアリオは配達人、ボランチのレアンドロはスーパーの店員、フォワードの2人、ジャッセとアイウトンは、それぞれガソリンスタンドの店員と、民間医療保険会社の事務員だ。

 29歳のアイウトンは、「朝の7時から昼の1時まで会社で働いて、そのあと練習、夜は学校に通っているから、寝る時間は4時間。家族を養っていかなきゃ」と語る。

 3部昇格のかかる、4部準々決勝のサンジョゼ戦。アウェイの一戦目を1ー0で終えて迎えたホームゲームを1-1の引き分けで終えて、AAはアクレ州のチームとして初めての全国3部昇格を勝ち取った。

 AAの会長は元同チームの選手でもあるエリソン・アヴェゼード氏は、「選手の多くは別の仕事を掛け持ちしている。これが我々の現実」と語る。

 ブラジルは、有名選手はほとんどリオ、サンパウロ、ミナス・ジェライス、リオ・グランデ・ド・スール、パラナ州から出ており、後はバイーアやペルナンブーコ州などの北東部が少々。アクレ州からはリオ五輪代表GKウェベルトンがいるものの、まったくサッカー不毛の地だ。

 来年からAAが参加する全国3部は、20チームが、ブラジル北部、南部10チームずつに分かれて2回戦総当たり、各リーグの上位4チームがプレーオフで、2部昇格と優勝を競い、各リーグの下位2チームは4部降格となる。 

 ブラジルでもポツンと離れた都市に本拠を置くため、例え、北部のチームとしか試合をしなくてよいとしても、選手の給料が月7万円の予算規模のチームに遠征費が出せるのだろうか? 遠すぎるがゆえに予算を抑えてバス移動と言うわけにもいかない。サッカー選手より、副業の方が儲かるから、選手を続けられないという選手は出て来やしないかという心配もあるが、来年の全国3部での戦いを注目したい。