ブラジルサッカー便り 

2014年よりブラジル、サンパウロ在住、サッカー大好きです。

大凡戦の末のPK決着。クルゼイロがブラジル杯5度目の優勝

f:id:kimio_ido:20170929001027j:plain

 フラメンゴの元ブラジル代表ジエゴ。試合後のPK戦で外してしまった。

(Gilvan de Souza / Flamengo)

 

 ブラジル杯決勝のセカンドレグが9月27日にミナス・ジェライス州ベロ・オリゾンチのミネイロンスタジアムで行われた。

 3週間前にマラカナンで行われたファーストレグは1-1の引き分けに終わっていたこの対戦は、「アウェイゴールルールなし、トータルスコアで同点の場合は即PK」というレギュレーションだった。

 試合は、「凡戦」の一言で片づけるに十分な内容だった。0ー0でゴールが入らなかったからではない。両チーム全くパスが繋がらない。「ポゼッションかカウンターか」という話ではない。出し手にも、受け手にもプレッシャーのかからない状態の、普通のつなぎのパスが合わないのだ。「なんだあれ?」と思ってよく見ると、1月に国内組だけで編成された時のブラジル代表のウィリアン・アラォンだったりする。

 パスミスが起きると、パスした方も、された方もお互いに肩をすくめて「お前が悪い。俺のせいじゃない」とアピールしあっている。あのーその0・5秒がもの凄く無駄なんですけど、、、相手はカウンターに入っているんですけど、、、

 クルゼイロは怪我人の補充に交代枠を3つとも後半中ほどまでに使ってしまい、試合を動かす選択肢はフラメンゴにのみ与えられた。しかし、フラメンゴもエヴェルトン・リベイロが怪我で、レギュラーで出した4人の攻撃陣、ゲレーロ、ジエゴ、エヴェルトン、べリオを下げてまで使いたい駒がなく(ヴィニシウス・ジュニオールは使われなかった)淡々と90分が過ぎてしまった。

 その後のPK戦ではまたも、「先攻有利」の法則が働いた。常に先手のクルゼイロに対し、半歩追いかけるフラメンゴのキッカーに常にプレッシャーがかかる展開となった。フラメンゴは3人目のジエゴがミスし、クルゼイロ4人目が決めて4-2、「外せば負け」のフラメンゴ4人目は何とか決めるも、クルゼイロ5人目のチアゴ・ネーベス(元ベガルタ仙台)が決めて5-3でクルゼイロの勝ちとなった。

 深夜12時過ぎのミネイロンで、泣いて喜んでいるクルゼイロのファンを見て考えてしまった。「こんなお粗末な内容のサッカーで、それでもPK勝ちで優勝して嬉しいんだろうか?」 

 はい、嬉しいだろうと思います。コリンチャンスファンの僕でもそうだから。

 でも90分通して、心躍るシーンはほとんどなかった。だいたいブラジル国内レベルの選手は、ファールのアピールや、「リスタートを少しでも早くやろう」、「そうはさせまい」とプレーが途切れた後のボールの奪い合いだけは熱心で、カップ戦決勝レベルでも、「止めて、蹴る」がなってない。

 ただ、「結果だけが大事」なのもよくわかる。じゃあ、「サッカーが好き」や、「特定のチームのファンであること」の意味って何だろう? 「面白い」の定義を幅広く考えれば、「プレッシャーのかかる両チームの神経戦が面白い」と言えなくもない。見る方にもやる方にも、報道する方にも実に因果なスポーツだ。

 とにかく、これでクルゼイロは5度目のブラジル杯制覇となり、来年のリベルタドーレス杯の出場権も確保した。昨年まではブラジル杯の決勝もリーグ戦の終盤に行われていて、早々に「カップ戦で優勝したからあとはリーグ戦軽視でもよい」とはならなかったが、今年はリベルタドーレス杯の決勝も年の最後に来てしまい、この時期の開催となった。リーグ戦はまだ13試合も残っているのに、クルゼイロは、「あとは降格さえしなければOK。上の順位を目指す必要もない」という状況になった。