ブラジルサッカー便り 

2014年よりブラジル、サンパウロ在住、サッカー大好きです。

愛と憎しみのクラシコ コリンチャンスxパルメイラスの100年戦争

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前日練習には32000人ものコリンチアーノが、ホームスタジアムのアレーナ・コリンチャンスに集まった。(© Daniel Augusto Jr. / Ag. Corinthians)

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チーム3点目となるPKを決めたジョ(© Daniel Augusto Jr. / Ag. Corinthians)

 まずは試合のハイライト、前半だけでも見て欲しい。

Corinthians x Palmeiras - Campeonato Brasileiro 2017-2017 - globoesporte.com

 ブラジル屈指のクラシコ(ダービー)、今年は両者の対戦が始まって100周年。調子を大きく崩したコリンチャンスと、調子を急激に上げてきたパルメイラス、勝ち点差5の直接対決首位攻防戦と、試合前に客の興奮を高める要素には全く事欠かなかったこの試合、僕を含む多くのコリンチアーノたちは不安な気持ちで試合を迎えていたことだろう。

 なにしろコリンチャンスは前の試合の負け方が酷かったのだ。1990年、クラブに初の全国選手権優勝をもたらした伝説的OBのネトは、自身が司会を務める番組で「お前らふざけんなよ! このまま優勝を逃したら、よりによってパルメイラスに優勝をさらわれたら、一生の恥だぞ!」とカメラに向かって叫びチームに喝を入れていた。

 3-2と勝利したこのクラシコの後のサッカー番組で「確かに誤審もありました。コリンチャンスの1点目はオフサイドでしたが、今日のコリンチャンスが見せた試合内容は、リーグ前半戦を思い起こさせるものでした」「いやいや、今日の内容は前半戦以上でしょう」などと解説者たちは称賛の声を惜しまなかった。

 

 劇的な回復の要因は何だろうと考えてみると、まずはスタメンをいじったことが功を奏したと言える。ここ数試合精彩を欠いていた、一昨年の優勝の功労者元ブラジル代表MFのジャジソンに代えて、思い切りよくドリブルで切れ込むクレイソンを先発させたことが大当たり。ハイライトシーンにはあまり出てこなかったが、パルメイラスの右サイドを蹂躙していた。U20ブラジル代表でここまで大きな貢献を見せていた、ボランチのマイコンも最近はつかれが見えていたので、カマーショが代わりにスタメンに入り活躍した。

 前節までの4試合、コリンチャンスは1分3敗、パルメイラスは3勝1分。勢いがあるのは明らかにパルメイラス。しかし、言い古された言葉ではあるが、「ダービーは何があるか分からない」だった。

 

 去年コリンチャンスはダービーで3連敗を喫している。去年リーグ優勝し、さらなる大型補強も施したパルメイラスに、去年中位で補強も地味だったコリンチャンスが今年は3連勝してやり返すなんて、コリンチアーノにとっては夢のようだ。

 

 コリンチャンスはこの勝利でパルメイラスとの勝ち点差を8に広げた。パルメイラスの優勝の可能性はかなり少なくなったが、パルメイラスが負けたことで2位に上がったサントスとはまだ勝ち点差が6だ。

 

 リーグ戦も残すところあと6試合。今週は代表ウィークで世界中、Jリーグから、スペインリーグまで特に1部リーグはお休みなのに、ブラジルでは水、土、水と試合が組まれていて、ブラジル代表にレギュラーGKのカッシオをとられるのは痛いが、パルメイラス戦で見せた内容の試合を今後も続ければ、逆転されることはないだろう。 気を抜かずに戦って欲しい。