ブラジルサッカー便り 

2014年よりブラジル、サンパウロ在住、サッカー大好きです。

エ! カンペオン! コリンチャンス7度目のブラジル制覇

 

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ボールを巡って激しく争うコリンチャンスのペドロ・エンリケ(左)と、フルミネンセのエンリケ・ドウラード(右)(NELSON PEREZ/FLUMINENSE F.C.)

Corinthians x Fluminense - Campeonato Brasileiro 2017-2017 - globoesporte.com

 終わってみればあっけなかった。リーグ前半戦を14勝5分で折り返し、「どんだけ早く優勝決めちゃうんだろう?」と浮かれていたら、折り返しから3勝3分6敗の大ブレーキ。一時は17ポイント差をつけていた(2位ですらなかった)パルメイラスの猛追を許し、その差は勝ち点差5まで縮まった時には「首位陥落も時間の問題」と言われていたのに、今月5日のパルメイラスとの直接対決、デルビー・パウリスタを3-2で勝利すると、8日アトレチコ・パラナエンセ戦、11日アヴァイー戦と勝ち、さらには昨日15日のフルミネンセ戦にも勝って4連勝で2年ぶり7度目の全国選手権優勝を決めてしまった。

 11月のFIFAマッチデーウィークに、リーグ戦を休まないどころか、水・木曜開催を2回も続けて、代表組抜きで3節も、それもリーグ大詰めのラスト6,5,4節をたった1週間で消化してしまうので、この時期恒例の、1節ごとにマッチプレビュー、マッチレビューを楽しむ時間もなかった。あれよあれよで優勝し、一歩一歩近づいていく感じがあまり味わえなかったことは残念だったが、とにかく優勝は優勝だ!

 2014年W杯のブラジル代表、FWのジョ以外、全然ビッグネームのいない戦力で、本当によく優勝できた。新人監督のカリーリは、前任のチッチ監督時代のアシスタントコーチを長く務めていて、チーム作りも、選手への心理的アプローチの仕方も、采配のスタイルもよく似ている。まずは堅実な守備陣を整えて、攻撃の整備にかかる。 スタメンはあまりいじらず交代策もオーソドックスなものが多い。

 さて、終わったばかりの、優勝を決めたフルミネンセ戦だが、開始早々1分にCKから先制を許してしまった。 CK取られた瞬間に「さーて、失点する確率の非常に高いCKをいきなりとられました」とふざけていたら、本当に失点したので笑ってしまった。今年のコリンチャンスは、全国選手権での逆転勝ちが一度もないことは分かっていたので、「あーあ、優勝は週末のリオに持ち越しか、お金かかるなあ」と心配していた。

 決して上位にいるわけではないフルミネンセは、「下位チームが首位相手のアウェイ戦でいきなり先制したらこうなるよね」とばかり、自陣深い位置にブロックを敷いて守りを固めた。攻撃陣にきらめく才能の持ち主がいるわけではないコリンチャンスは、引かれた相手を崩すのはあまり得意ではない。前半を0-1のビハインドで折り返した。

 1点を追うカリーリは、後半開始から、ボランチを削って、守備力とスタミナは落ちるが、パスの展開力や攻撃センスは光る、ベテランMFジャジソンを投入した。単純に守備力を少し落として、攻撃力を高めたわけだが、これが功を奏し、後半1分と3分にジョのゴールで逆転に成功した。

 今年のコリンチャンスは、リードを奪うとすぐチーム全体が引いてしまい、せっかくとどめを刺すチャンスなのにそれを逃して、敵の反撃を呼び込んでしまうという悪癖があった。しかしこの日は、優勝を目前に控えた大観衆が、「もっとだ!もっと行け!」と背中を押したので、それほどベッタリ引いてしまうこともなく、同点を目指すフルミネンセと互角の攻め合いとなった。

 後半39分にはジャジソンが、ペナルティエリア内で狙いすまして右足一閃、ゴール左隅に3点目が決まると、優勝を確信したコリンチアーノたちの興奮は一気に高まり、どうやって隠して持ち込んだのか、スタンドのいたるところで発煙筒が焚かれ、一面に白煙が立ち込めて、アディショナルタイムは10分近くになってしまった。

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 アディショナルタイム3分目には、コリンチアーノたちに絶大な人気を誇る、元鹿島アントラーズのダニーロが怪我から1年以上ぶりに出場し、ジョに代わってのワントップ、実質偽9番に入り、チェイシング要員となった。そのままフルミネンセの反撃を最後まで耐え抜いたコリンチャンスは3―1で勝利し、2年ぶり、7度目のブラジル全国制覇を成し遂げた。

 折角の優勝決定戦が平日開催試合、それも全国中継の都合で21時45分キックオフのため慌てて地下鉄駅に戻らねばならなかったが、その終電の地下鉄でも興奮したコリンチアーノたちがすし詰めになって車両の天井をバンバン叩き、応援歌を熱唱して家路につく様子は、中々日本ではお目にかかれない。「これぞブラジル」的な光景だった。

2017/11/15 コリンチャンス優勝の帰り - YouTube

 2015年に優勝した時は、翌年主力が7人も移籍してしまい、散々な結果に終わったが、来年は戦力ダウンを最小限にとどめて、リベルタドーレス杯2度目の制覇を狙って欲しい。