ブラジルサッカー便り 

2014年よりブラジル、サンパウロ在住、サッカー大好きです。

ブラジル全国選手権も残り2節。1部残留を目指し、5チームが2つの席を争う。

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残留を目指して必死の戦いを続けるスポルチ(左)とアヴァイー(右)
(Williams Aguiar/Sport Club do Recife)


 全国選手権も残り2節、コリンチャンス優勝は決まったが、まだまだその他のチームは来年のリベルタドーレス杯出場権や、1部残留を目指してギリギリの争いを続けている。

 特に激しい争いとなっているのが残留争いだ。全20チーム中、17位以下の4チームが来年は2部行きとなるが、今の時点で2部降格が決定しているのは、最下位のアトレチコ・ゴイアニエンセのみ。15位のコリチーバから19位のアヴァイーまでの5チームが、2つの来期1部残留の席を争っていて、2部降格だけは絶対に避けたい各チームは手を尽くして、残留を手繰り寄せようとしている。

 19位のアヴァイーは、チームの熱心なファンである、地元出身の元名テニスプレーヤー、グスタボ・クエルテンが出演する、モチベーションビデオを作成。18位のスポルチのファンはアウェイの地リオに前乗りしたチームに同行し、練習場に塩をまいた。
 勝ち点差1で残留ゾーン16位につける、ヴィトーリアとのホームでの直接対決を控える17位のポンチ・プレッタは、スタジアムを満員にするため、CBFに許可されている限界までチケット価格を下げ、6レアル(約210円)のシートを売り出した。本当はポンチ・プレッタは値段を2レアルにしたかったが、さすがにCBFに注意されたようだ。

 アヴァイーもユニフォーム着用ファンへのチケット特別割り引きなどを行い、ホームゲームを満員にして、選手を後押ししたいようだ。残留キャンペーンリーダーのクエルテンは、さすがに現役時代は全仏オープンを3度も制した勝負師。残り3節の時点で「3連勝すればいいだけだろ!」と語っていた。(ちなみにすでに終了した第36節のパルメイラス戦はアヴァイーの勝利だった)

 南東部や南部のチームだらけのブラジル全国選手権1部には数少ない、北東部地方ペルナンブーコ州レシーフェのチームスポルトは、前節ホームスタジアムで4カ月ぶりの勝利を挙げた。普段ブラジルのチームのサポーターは少しでも負けが込むと、チームに激しく文句を言うだけでなく、練習場に押しかけたり、選手に八つ当たりしたり、チームの施設を破壊したりする(優勝した今年のコリンチャンスだって、優勝を決めたラストスパート4連勝の直前期には調子が最悪で、4試合で1分3敗とやらかすと、練習場の壁に「平和は終わった」とスプレーで落書きされた)が、2部落ちの危機が目前に迫り、サポーターも、ようやく「ここは励ます時」と気付いたようだ。
空港ではスポルチのコアサポーターが熱烈な見送りをし、リオに平日から乗り込んで、チームの練習場に魔よけの塩を撒いている。

 1部より1節消化の早い2部は、既に4つの来期1部昇格チームが出揃っており、名門インテルの1年での1部返り咲きや、サンパウロからアウェイ応援に行きやすい、アメリカ・ミネイロやパラナ・クラブの他、大ベテランマグノ・アウヴェスの所属する、北東部のセアラーの昇格も決まっている。

 これを書くまでは、上がってきて欲しいクラブ、落ちて欲しいクラブなど、僕の個人的な嗜好もあったけれど、各チームの必死さを見ていて、「落ちてほしい」なんて思うのはやめにした。各チーム最後の力を振り絞って、悔いのないよう戦って、最後はスポーツ的に公正な結果が出る事を期待したい。