ブラジルサッカー便り 

2014年よりブラジル、サンパウロ在住、サッカー大好きです。

頑張れ!アレックス・サンターナ 元湘南ベルマーレのGK、ブラジルで苦難の時を迎える。

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 昨年はブラジル代表に選出されるほどの好調から一転、極度の不振にあえぐフラメンゴのGKムラーリャ(元湘南ベルマーレのアレックス・サンターナ・Gilvan de Souza / Flamengo)

 

 2013年7月にレンタル移籍で湘南ベルマーレに加入し、その年いっぱいまでプレーしたブラジル人GK、アレックス・サンターナを覚えているだろうか?Jリーグで12試合、天皇杯で1試合の合計13試合しかプレーしなかった彼だが、加入直後のデビュー戦では、PKの時に「怪しい踊り」でキッカーの大久保を惑わし、ミスを誘ったというエピソードも持っている。

J1 18節 川崎VS湘南 アレックス サンターナのダンス - YouTube

「怪しい踊り」は、1分10秒から

 その後ブラジルに戻った彼は、地方チームのフィゲイレンセで活躍すると、2016年には、超名門クラブのフラメンゴへの移籍を果たした。

 ブラジルでの彼の登録名は、ニックネームのムラーリャ。「壁」という意味のポルトガル語だ。その年のフラメンゴでの、シュートをことごとく止める壁のような活躍は、9月と10月にはワールドカップ予選を戦うブラジル代表にも招集されるほどだった。(第3GKとして呼ばれたので出場機会はなかった)

 チームとしても優勝争い、個人としても代表入りと最高の2016年を過ごしたムラーリャだったが、今年に入ると彼の運命は一転した。前半のリオ州選手権からミスが目立ち、全国選手権開幕の頃には若手にスタメンを譲ってしまったのだ。 
 7月には、スペインリーグ、バレンシアでクリスティアーノ・ロナウドやメッシのPKも止める男、必殺PKストッパーとして活躍していたジエゴ・アウヴェスがフラメンゴに移籍してきて、ムラーリャの位置づけは第3GKにまで落ちた。それでもなんとか2番手GKの座までは戻ると、ジエゴ・アウヴェスが登録期限の関係で出場できなかったブラジル杯決勝でゴールを守ったムラーリャだったが、PK戦にもつれた勝負で、ムラーリャは一つもシュートを止められず、ファンやメディアからの激しい非難を浴びた。

 その後もリーグ戦にはジエゴ・アウヴェスが出続け、ムラーリャの不遇は続いた。しかし先週木曜のスダメリカーナ杯準決勝ファーストレグでは、ジエゴ・アウヴェスが相手FWと激突して負傷。ムラーリャに再び大事な場面で出番が回ると、出場から数分で失点。「ムラーリャなんか駄目だ!」「あんなヘボキーパーの登録名が『壁』なんて、なんかのジョークか?」と、また火の出るような批判を浴びた。
 その試合はチームが逆転したおかげで、何とか2戦目のアウェイに望みをつなぐも、またしても、日曜のリーグ戦サントス戦でムラーリャは失点に繋がる大きなミスを一つ犯し、さらには、はた目にも止められそうなシュートをゴールの外にはじくこともできず合計2失点でフラメンゴは敗れた。もはや今のムラーリャは、試合に出しては可哀想なほどだ。

 「本来実力のあるキーパー、今の不調は精神的なもの。なんで味方の選手を応援してくれないんだ?」と、ずっとムラーリャをかばっていた監督もついには、スダメリカーナ杯準決勝セカンドレグ、コロンビアでのアウェイ戦で若手キーパーを使うことを明言している。
 
 フラメンゴがスダメリカーナ杯決勝に進んでも、もうムラーリャは使われないだろう。怪我のジエゴ・アウヴェスが治ったら、来年は第3GKに逆戻り。Jリーグ経験のある選手はだれでも僕にとってはシンパシーを感じる存在で、なんとか復活して欲しい。