運命のリベルタドーレス杯決勝第2戦直前、3度目の優勝を狙うグレミオの秘密
意外にも人心掌握術に長けた男だった。ただのチョイワルオヤジじゃなかった、グレミオのレナト・ガウーショ監督 (LUCAS UEBEL/GREMIO FBPA)
2013年のアトレチコ・ミネイロ以来、4年ぶりにブラジルチームがリベルタドーレス杯決勝の舞台に戻ってきた。1983、1995年以来、3度目の優勝を目指すグレミオだ。
チームのカリスマ、チョイワルスタイルのレナト・ガウーショ監督率いるグレミオの強さは、ほぼコリンチャンス応援ブログの当ブログでもしばし紹介してきた。
強いチームを作るには何よりも効果的な補強が必要。豊富な資金に物を言わせて大型補強をしたパルメイラスと、フラメンゴが共に満足いく成果をあげられないでいるのに対し、グレミオは他のチームで出番を失っていた選手や、評価が下がっていた選手たちを安い値段で獲ってきて、そのポテンシャルを再生、着実に戦力をアップさせている。
先週行われたラヌースとの決勝第1試合での決勝点を振り返ってみよう。 センターライン付近右よりから、エジウソンが対角にロングボール、ジョエルが頭で折り返し、裏にこぼれたボールにシセロがつめて決まったゴールだ。
エジウソンはコリンチャンスで14年と15年ずっと右サイドバックの控えに甘んじ、16年に移ってきた選手。ジョエルは今年途中まで3部のチーム所属で、そのチームさえも6月でクビになり、「所属クラブなし」の状態で加入した。 シセロもしばらくサンパウロで干されていて、加入したのは最近、値千金のリベルタドーレス決勝でのゴールを決めたのは加入後3試合目のことだ。
チームのヤングスター、リオ五輪代表、最近フル代表にも呼ばれたFWルアンと共に攻撃陣の中心的存在、元パラグアイ代表FWのルーカス・バリオスも大型補強のパルメイラスで出番を失い、今年早々に年俸ダウンも辞さずにグレミオに移ってきた。「グレミオ行きは最良の決断だった」とも語る。
「補強の時はまず、チーム独自で収集したデータベースを当たる。そこでグレミオのスタイルにあった選手、市場で過小評価されている選手を見つけ出す」 と語るのはグレミオのプロサッカー部門副部長のオドリコ・ロマン氏だ。
挑発的な言動に、派手なファッションで、およそ選手の心を掴むのに長けている印象などない、オレサマ主義者に見える監督のレナト・ガウーショも、「ウチがとった選手の中には『もう終わった選手』みたいな言われ方をしていた奴もいる。でも非常にチームに貢献してるじゃないか。俺が『欲しい。獲ってくれ』と言ったんだ。マスコミやファンは反対だったがな。選手たちを輝かせるには、奴らをやる気にさせる言葉が必要なんだよ。俺はそれを持っている」とまるでどっかの野村再生工場みたいなことを言う。
しかしグレミオはロートルばかりの集団ではない。ファインセーブ連発で、代表に入ってもおかしくないと言われるGKグロエ、9、10月シリーズでは国内組のフィールドプレーヤーとして数少ないブラジル代表入りを果たしたボランチのアルトゥールにFWのルアン。彼らは育成チーム出身だ。
育成チーム出身選手を軸に補強組も加わって、上り調子のグレミオは、チームとして3度目の南米制覇(そうなればサントス、サンパウロと並びブラジルチームとしては最多タイ)を成し遂げるのだろうか?