ブラジルサッカー便り 

2014年よりブラジル、サンパウロ在住、サッカー大好きです。

 おめでとうグレミオ、ブラジル勢最多タイとなるリベルタドーレス杯3度目の優勝!

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 この日2点目を決めたFWルアンには欧州クラブも注目している。彼のゴールは、下のリンクの1分からどうぞ

(LUCAS UEBEL GREMIO FBPA)

Lanús x Grêmio - Taça Libertadores 2017-2017 - globoesporte.com

 やはり、優勝されてしまった。コリンチャンスがリーグ戦で対戦した中でも一番強く感じ、多くのブラジル人サッカー解説者が、「コリンチャンスがリーグ戦で首位ではあるが、やっているサッカーの内容が一番いいのはグレミオ」と口を揃えていたグレミオが、29日のラヌースとのリベルタ決勝第2戦でも勝利して、通算優勝回数を3に伸ばしてしまった。

 FWにルアン、バリオス、MFにはアルトゥール、CBジェロメルにカンネマン、GKのグロエなど、センターラインが安定していたのも勝因だった。 しかし、サンパウロに本拠を置く、緑色のユニフォームの自称名門クラブと違って、金満補強で優勝を札ビラはたいてさらっていたわけではないのが救いだ。 グレミオにできたなら来年のコリンチャンスにも2度目のリベルタドーレス優勝への望みはある。

 グレミオはブラジルチームにとって大きな教訓を残した。それはターンオーバーの重要性だ。これまでのように7~8月に終わるのとは違い、11月末まで大会期間が伸びた今年のリベルタドーレス杯は、リベルタドーレス杯の試合の前後でコンディショニングに影響を受ける全国選手権の試合の数を大きく増やした。

 チャンピオンズリーグでも勝ち進み、同時に国内リーグでも首位争いをするような欧州の一部のオバケチームのような存在は、ブラジルにはない。6週間も、週に2試合が続き主力は疲労を抱えたままなのに、全とっかえするわけでもなく、5~6人程度の入れ替えにとどめて戦って、どっちも引き分け、カップ戦ではアウェイゴール差で敗退し、リーグ戦でも勝ち点2を落とすようなことをやったコリンチャンスは大いに参考にすべきだ。

 決勝でブラジルのグレミオとアルゼンチンのラヌースの対戦が決まった時、リベルタドーレス杯決勝における、ブラジルxアルゼンチン対決のデータが盛んに報じられ興味深かった。 「ブラジルチームとアルゼンチンチームが優勝を争ったケースはこの対戦前まで13回あり、アルゼンチンの9勝4敗」 「アルゼンチンの地で最終決着となった際、アウェイの地でブラジルが優勝したのは1963年にペレを擁したサントスがボカに勝った時だけ。(今年の決勝も第2戦はアルゼンチン開催)」 「グレミオの過去4回の決勝進出で2回勝ち、2回負けているが、勝った2回はウルグアイ勢が相手で、負けた2回はアルゼンチン勢だった」「過去最近のグレミオの決勝は2007年で、その時の相手はボカで通算スコア5-0の大敗だった」
 全てのデータがグレミオ不利を示していたが、それを跳ね返しての優勝だ。

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写真リベルタドーレス杯の大きなトロフィーを掲げ、アウェイ観客席に向かって掲げるレナト・ガウーショ
(LUCAS UEBEL GREMIO FBPA

 これまで何度も触れてきたが、傲慢なのか、リップサービスに長けているのかそれともその両方か、チョイワルオヤジのレナト・ガウーショ監督は、試合後の会見で、「明日ポルト・アレグレは休みだ」と宣言。翌日の新聞コラムでは「レナト・ガウーショの功績を称えるのに、銅像だけでは足りない」とかかれるほどだ。

そう、ブラジル人として初の「選手としても監督としてもリベルタドーレス制覇(しかも同じチームで)」の偉業は、どう褒め称えても足りないくらいだ。

 さて、「選手としても監督としてもリベルタドーレス制覇」と書いたが、実はこのレナト・ガウーショは、1983年はリベルタドーレス制覇だけでなく、その後のインターコンチネンタル杯(トヨタカップ)でもハンブルガーSV相手に自分でゴールまで決めて勝利し、世界一になっている。
 12月のクラブW杯で、「選手としても監督としても世界一」になってしまったら、どうなってしまうんだろう?浦和レッズも、本田のパチューカも、今頃「狙うはレアルの首一つ」状態だろうけど、南米王者のグレミオも当然それを虎視眈々と狙っているはずだ。

 日本の皆さんには中継に映るレナト・ガウーショ監督と、決勝第2戦で憎らしいまでのチップキックのシュートを決めた五輪代表FWのルアンに注目してもらいたい。