ブラジルサッカー便り 

2014年よりブラジル、サンパウロ在住、サッカー大好きです。

ロマーリオがCBF会長に? FIFAから資格停止処分を受けた現会長に挑戦状 問題は会長選規約

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 政界でも活躍中のロマーリオ(Zeca Ribeiro/ Câmara dos Deputados)

 最近ブラジルサッカー連盟(CBF)のマルコ・ポーロ・デル・ネーロ会長は、国際サッカー連盟(FIFA)から90日間の資格停止処分を受けた。この会長はアメリカのFBIから大会放映権料をTV局に配分しリベートを受け取っていた汚職の嫌疑をかけられており、ブラジル国外に出ると逮捕のおそれがあるために、ブラジル代表の試合だろうと、ワールドカップ抽選会だろうと絶対に代表に同行したりイベントに出席したりしない。ブラジルの外に一歩出ると逮捕される恐れがあるためだ。
 CBFは、前会長のジョゼ・マリア・マリンもアメリカで裁判中だし、元会長のリカルド・テイシェイラも、ジョアン・アベランジェ(故人)も汚職で真っ黒だ。
 そんなCBFだが、ブラジル国内での権力が強大なために、表立って歯向かう勇気のある人はあまりいない。代表監督チッチだって、監督就任前はデル・ネーロ退任を求める運動に加わっていたのに、代表監督就任のオファーを受けると急にトーンダウンした。

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 ロシアワールドカップ全出場国のサッカー協会会長の中で、唯一ロシアに行かなかった、マルコ・ポーロ・デル・ネーロCBF会長

(Alex Ferreira/ Câmara dos Deputados)

 そんななか、もっとも厳しくCBFの体質を批判しているのが、元ブラジル代表の名ストライカーで、今は上院議員のロマーリオだ。ロマーリオはデル・ネーロの資格停止処分の出た後、リオのCBF本部の写真と共に、CBFの現状を嘆き、「CBF幹部の各州サッカー連盟会長も同じ穴のむじなで、汚職にまみれている、本当にサッカーを愛する者が会長になるべき」との言葉をインスタグラム(@ROMARIOFARIA)に投稿した。

想いのこもった長い投稿は続く。

 「みんなが俺に聞いてくる。『CBF会長に立候補する気か?』と。俺ほど、あの盗人集団と激しく戦った人物はいない。俺が立候補するのが筋ってもんだ。だから質問への答えはこうだ。『そうだ。俺はCBF会長に立候補する資格がある』」

 あれっ?「俺は立候補する」じゃなくて、「俺は立候補する資格がある」なの? そこだけ歯切れが悪い。

 ただし、それもしかたない。CBF会長になるための会長選挙は、今の規約では各州サッカー連盟会長と、ブラジル全国選手権1部リーグ20チームの会長にしか投票権がなく、その47票を争うからだ。
 元サンパウロ州サッカー連盟会長のデル・ネーロは気心知れた各州サッカー協会会長相手に周到な根回しをすると共に、「持ちつ持たれつ」の関係を築いていて、ロマーリオのような後ろ盾の乏しい「正義の闘士」が勝つ可能性は低い。
 皆がCBF会長とその一派はクソヤローだとわかっていて、それでも倒せないこの状況は悲惨だが、果たして本当にそうだろうか? 「FBIの逮捕逃れで、ブラジル代表戦にも同行できない、そんでもってFIFAから資格停止処分を受けたような男とその一味を許すな!打倒せよ!サッカーファースト、選手ファースト、サポーターファーストだ!利権ファーストじゃないぞ!」との世論が盛り上がれば、さすがに現会長一派に当選できなくなったり、規約の変更などが起こるかもしれない。