ブラジルサッカー便り 

2014年よりブラジル、サンパウロ在住、サッカー大好きです。

2017年ブラジルサッカー界10大ニュース 8~10位

私的2017年のブラジルサッカー10大ニュース 

今年もブラジルサッカー界は様々なことが起こった。3月にはブラジル代表がホスト国を除いた中で世界最速でのワールドカップ予選突破を決めたり、ネイマールのPSG移籍や、国内に目を向ければ、昨年の全国選手権の勢いそのままに、大型補強を敢行して帝国を築こうとしたパルメイラスの挫折、「サンパウロ州だけで見たって4番手(ましてやブラジル全国レベルでは、、、)」との低評価だったコリンチャンスの2冠、チョイワルオヤジのレナト・ガウーショに率いられたグレミオの南米制覇など盛りだくさんだった今年の10大ニュースを振り返る。

10位 止まらぬスタジアムでの暴力

今年もサポーター同士の喧嘩や、負けた腹いせの暴力行為が沢山発生した。ボタフォゴサポーターの待機列にフラメンゴサポーターが発砲したり、バスコのファンが負けてスタジアム破壊、ポンチプレッタのファンもスタジアム破壊の末にピッチに乱入していた。最後はスダメリカーナ杯決勝でインデペンディエンテのホテル付近で夜中に打ち上げ花火をバンバンあげ、試合当日もチケットのゲート突破、負けた直後のマラカナン駅の大混乱まで。 どうしていつもいつもこうなってしまうのか? 騒ぎを起こすサポーターたちは、よほど普通の生活で鬱憤やストレスをためているのだろう。さらには、「こんな事をするとこんな結果を招いてしまう。それは誰にとっても自分にとっても決して好ましいことではない」との単純な計算、自制心が働かないのだ。 僕はもう、この問題については悲観的だ。警察を増やしても、対戦カードによってはアウェイサポ入場禁止にしても、人の心に巣食うブラックな感情は食い止められない。 ブラジルには、サッカーファンの中にも教養の高い人もいっぱいいるし、サッカーで応援するチームが負けたからって間違っても暴力行為に走ったりしない人の方が大多数だが、少数派の引き起こす事件のインパクトが強すぎて、全部こんな人たちばかりだと決めつけられるのは悔しい、、、

9位 昨年まさかの全国2部降格の名門インテルナシオナル、1年で1部復帰

2016年にチーム史上初の全国選手権2部落ちを経験した、南部の名門インテルナシオナルが、今年は2部リーグで優勝こそ逃したものの、2位となり、1年での1部復帰を果たした。 僕が驚いたのは、2部に落ちてもインテルは選手補強に苦労しなかったことだ。 1部のチームから、インテルに移籍(それも結構な主力クラス)する選手がかなりいた。 中でも一番目を引いたのは、インテルで一時代を築き、母国アルゼンチンでプレーしていたダレッサンドロがチームの窮地を救うべく戻ってきたことだ。 それでもリーグ戦開始のころは中々補強戦力がかみ合わず、4位までの昇格ゾーンにも入れない時期が続いたが、後半は一気に持ち直して、優勝まであとわずかまでこぎつけた。 リーグ終盤に足踏みして、2位フィニッシュとはなったものの、1年で1部復帰という最低限のノルマは果たした。今年は同じ街を本拠とするグレミオが南米制覇を成し遂げてしまったので、直接対決のクラシコは大いに煽りあいが盛り上がることだろう。

8位 シャペコエンセの健闘

2016年11月末にまさかの飛行機事故でチーム幹部や主力選手のほとんどを失ったシャペコエンセはゼロからの再建を強いられた今年は、上半期のサンタカタリーナ州選手権優勝に加え、全国選手権8位での来期リベルタ出場権獲得と、申し分ない成績だった。 僕は何より、2016年のスダメリカーナ杯で優勝認定されたことで、逆にカップ戦などの試合数が増え、肝心の全国選手権で過密日程に苦しみ2部落ちするのではないかと心配していたが、それも杞憂に終わった。 事実シャペコエンセは2016年リベルタドーレス優勝のアトレティコ・ナシオナル(コロンビア)とのH&Aでのレコパ(欧州でいうところのUEFAスーパー杯)や、2016年日本のルヴァン杯勝者浦和レッズとのスルガ銀行杯、バルセロナやローマからも親善試合に招待され、選手のコンディション調整に苦しむのではないかと思っていた。実際に一時は低迷し、降格ゾーンに沈むと監督を交代させたりもしたが、最終的には8位と立派な成績だった。 年末の親善試合には、あの飛行機事故から生き残った3人の内、既にプレーに戻っていたルシェルの他、ネットも事故後初めてのプレーを果たした。2018年以降も苦しい戦いが続くとは思うが、このチームは不思議な力が働いて、2部に落ちたりはしないような気がする。 ちなみに2017年初めに京都サンガからシャペコエンセに加入していたMFのアンドレイは今年の前半だけのプレーで評価を上げて、フランスリーグナントへの栄転となった。

f:id:kimio_ido:20171231022618j:plain

最終節でリベルタドーレス予備戦出場権戦を獲得し大喜びするシャペコエンセの選手たち。

(Sirli Freitas)