ブラジルサッカー便り 

2014年よりブラジル、サンパウロ在住、サッカー大好きです。

何人いても足りない監督、2節に1人以上のペースでクビに

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(Bruno Cantini / Atlético-MG)フレッジ、ロビーニョら豪華戦力を擁するも、なかなか全国選手権で浮上できず、15節で解任されてしまった、アトレチコ・ミネイロのロジェール・マシャド監督

  ブラジルでは監督のクビのすげ替えが非常に多く、今年も1部リーグでは第15節終了時点で13人の監督がクビになった。
19、20日に行われた15節の終了直後は監督解任が非常に多く、わずか2日で4人ものクビが切られた。
 15節で13人とは、強引に割り算すると、1.15(イッテンイチゴー)節に1人の監督がクビになる計算だ。
 ちなみに昨年は、38節で32人がクビになった、1.18(イッテンイチハチ)節に1人だ。1部リーグは20チームしかないのに、のべ32人がクビになるという事は、2回以上の監督交代も珍しくなく、監督がクビにならずに1年を戦い抜くチームのほうがよほど少ないということだ。

 開幕2節にして初の解任がでたのはスポルチだ。スポルチは後任に、ルシェンブルゴを据え、彼は「まだ」生き残っている。今年既に監督を2回交代させたのは、アトレチコ・ゴイアニエンセ、アトレチコ・パラナエンセ、ヴィトーリアの3チームだ。

 今年既に1回監督を代えているのは、バイーア、シャペコエンセ、コリチーバ、サントスFC、サンパウロFC、スポルチ、とつい最近ではアトレチコ・ミネイロもその列に加わった。

 興味深いケースは、サンパウロFCだ。25年もチーム一筋でプレーし、一昨年限りで引退していたロジェリオ・セニが今年から指揮をとっていた。彼の絶大な人気から、どれほど低迷しても解任はないと思われていたが、11節に降格ゾーンに転落するに至り、あっけなく解任されてしまった。後任のドリヴァル・ジュニオールも、実は開幕4節で3敗したことで、サントスFCをクビになっていた人物だ。

 サントスFCがドリヴァル・ジュニオールをクビにした後、後任に就いたのは、去年11月にフルミネンセをクビになって以来、半年浪人生活を送っていた、日本でもお馴染みのレヴィー・クルピだ。

 一番最近監督をクビにしたアトレチコ・ミネイロは、去年のリオ五輪でブラジルに金メダルをもたらし、そのままU20ブラジル代表の指揮をとっていたが、今年初めのU20南米選手権で5位に終わり、U20W杯の出場権を取れずに解任されていた、ロジェリオ・ミカーレだ。

 クルピも、ミカーレも、チームがまだリベルタドーレス杯に勝ち残っており、そこでPKでもアウェイゴールでも何でもいいから優勝してしまえば、クラブ史に残るヒーローになる。浪人から、リベルタ優勝監督なんて事にもしなったら、境遇の格差たるやすさまじいものがある。

 ブラジルはちょっと連敗すると、クラシコに負けると、一回大差で負けると、それこそ、おまじないか厄払いかのように、簡単に監督を変える。
 そこには計画的な強化も、チーム作りの哲学もあったものではなく、「その時たまたま暇してる、そこそこ有名な人」という基準で後任を選んでいるとしか思えない。せめて一年はじっくり任せたほうが良いはずだが…