ブラジルサッカー便り 

2014年よりブラジル、サンパウロ在住、サッカー大好きです。

ロシアワールドカップ、グループリーグ抽選会 ブラジル目線で結果を分析

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抽選会に参加したマラドーナ(左)とカフー(右)

(Konstantin Rybin © Organização pública russa “Russian Football Union”, 2017 )

 来年のワールドカップ開幕まで残すところあと半年足らず、1日にモスクワでグループリーグの組み合わせ抽選会が行われ、来年6月開幕のW杯本番への期待も一気に高まってきた。
  H組に入った日本はコロンビア、セネガル、ポーランドと同じ組に入り、「何とかなるかも」「やっぱり無理でしょ」「サポーターの移動が大変、宿の確保が大変」などと喧々諤々の議論が起こっている。こうしてサッカー談義に花を咲かせることもワールドカップの大事な楽しみの一つ。 当然ブラジルでもお昼時から多くの人がTVやネットにかじりつき抽選の行方を見守った。
 
 抽選前にブラジルで言われていたのは、「ポット2のうち、南米の3カ国とは絶対にあたらない。だから、あたる可能性があるのは5カ国。その内優勝経験のある2カ国(スペイン、イングランド)は出来れば避けたいが、そのどちらかとあたる可能性は40%もある」というものだった。そうはいっても、ブラジルはブラジル、「めんどくせぇ。どっちが来たって別に問題ないだろ!」と大御所アナウンサーは話していて、「流石はブラジル」と思った。
 

 さて、結果はご存知の通りブラジルはE組で、スイス、コスタリカ、セルビアと同組に入った。これら3カ国の実力はどのポットの中でも真ん中よりは上。スイスは言うに及ばず、コスタリカは前回旋風を巻き起こした国だし、同じポット3なら、もっと楽なチュニジアやエジプトの可能性だってあった。セルビアに至ってはポット4最強国だ。同じポット4なら韓国、サウジ、日本、モロッコのどれかと当たる可能性だってあったのについてない。
 
 また、対戦順も決して良いとはいえない。グループリーグのメンツが同じなら、手探りスタートの開幕戦はもっとも実力が落ちるであろうコスタリカが良かったが、逆にもっとも実力が上のスイスと当たることになってしまった。スイスは前々回の南アフリカワールドカップで、初戦のスペイン戦で番狂わせを起こしている。
 
 もちろん優勝を狙うブラジルたるもの、1次リーグよりずっと先を見ているのだが、1位と2位がたすきがけで決勝トーナメント一回戦を戦うF組にはなんと因縁のドイツがいる。「ドイツがF組1位で来るだろうから、ドイツといきなりあたらないようにするにはE組を1位で抜けなくてはならない」との声も当然上がっている。ただ、ちょっと調べてみたら、ブラジルは過去のW杯の一次リーグでほとんど1位通過しており、最後に2位通過だったのは1978年まで遡る。
 よって心配すべきはドイツまさかの2位抜けで、よく似た例では、1990年大会を1次リーグ全勝したのに、一回戦の相手は1次リーグ不調で、3位でやっとこ抜けてきたアルゼンチン。その試合にマラドーナとカニージャに一瞬の隙を付かれて0-1敗退。この二の舞は避けたいところだろうが、万が一ドイツが2位になっても、最終戦のキックオフはブラジルのほうが遅く、「敢えての2位抜け」もやろうと思えばやれる。
 決勝トーナメント一回戦は、ドイツをちゃんと避けることができれば、メキシコかスウェーデン。その次の準々決勝はG組のベルギーかイングランドか、H組のコロンビアかポーランド。4強入りにむけてさしたる障害は見当たらない。

 W杯本番までまだ時間はある。これから欧州サッカーシーズンも佳境に入り、強豪チームでレギュラーの、多くのブラジル代表選手には怪我の可能性もあるし、W杯に向けてのキャンプに入った時にどんなコンディションかも未知数だ。

 3月のFIFAマッチデーウィークでのロシア、ドイツとの試合をうまく利用して、監督チッチがどのようにチーム力を高めていくかが注目だ。