コリンチャンス最大の応援組織ガヴィオエス・ダ・フィエル本部に行く
コリンチャンスにはいくつかのサポーター組織があるがその中でも最大規模のガヴィオエス・ダ・フィエル(以下ガヴィオエス)の本部に行ってきた。
ガヴィオエスはサンバ隊も持っていて、毎年サンパウロで開かれるカーニバルの時には14あるスペシャル・グループ(1部リーグ)の一つとしてパレードをし、優勝を争っている。
ブラジルではリオとサンパウロのカーニバルが有名で、エスコーラと呼ばれるサンバ集団は、本番当日には何千人も動員してサンバスタジアムでパレードを行い、衣装や、曲、巨大な山車やサンバ隊の演奏の見事さを点数で競い、優勝や、2部降格などもある。
ガヴィオエスの山車 (Duda Bairros / Vicar)
ガヴィオエスはその一つで、同じサンパウロ市では、パルメイラスのマンシャ・ヴェルジと、サンパウロFCのインデペンデンチ、ドラゴエス・ダ・レアルも1部にいる。
リオはマンゲイラやポルテーラなど、サッカーファンじゃなくてサンバファンにはお馴染みのエスコーラもあるが、サッカーチームのサポーター集団と一体化したエスコーラはリオにはない。
カーニバル本番まであと2カ月あまり、エンサイオと呼ばれる練習に精を出す各エスコーラはその様子を一般にも公開していて、入場料も安く楽しめる。ただし開始が遅いのが難点だ。
毎週金曜のガヴィオエスのエンサイオ、フェイスブックでの告知には夜の10時から翌朝の4時までとあったので、10時半には会場に行ったが、練習が盛り上がり始めるのは12時を過ぎてからだった。サンバの打楽器の爆音が体育館みたいなスペースに鳴り響くが、完全に音漏れしている。近所の人は迷惑じゃないのだろうか? おそらく、コリンチアーノが怖くて逆らえないか、サンバの時期の騒音はわかっていて、それでも住んでいる理解のある人たちかなんだろう。
ガヴィオエスの旗を掲げ踊る、メストリ・サーラ(左の男性)とポルタ・バンデイラ(右の女性) (Duda Bairros / Vicar)
深夜1時に、入り口付近が騒がしくなった。ガヴィオエスのパレードにゲストで出る芸能人が今日の練習には特別にやってくるのだと言う。その芸能人の名はサブリナ・サトウ。ブラジル芸能界で唯一成功している日系人だ。
彼女の行くところ、常にカメラのフラッシュが追いかけていた、ファンも日本と違って遠慮はない。どんどん、「一緒にツーショット撮って」と頼みに行き、サブリナはその全てに快く応じていた。 日本と違って、「無断の写真撮影、SNS投稿はご遠慮くださーい」と叫ぶおつきの人もいなかった。
「TVに出ているからって、ファンも芸能人も同じ人間だから、フレンドリーに接している」のか、「ファン、特に子供に優しくする事でカリスマ性が高まる」からそうしているのか、多分両方だろう。
こっちではサンバは結構体育会系で、上下関係も厳しい。お客さんはともかく、サンバ隊本体の人はほとんど騒ぐ事もなく、ノンストップで汗だくになりながらドラムを叩いていた。サブリナもファンサービスの傍ら、彼らには敬意を払い、「チャラチャラした関係ではなく、サブリナとサンバ隊は同士」的な空気感だった。
爆音鳴り響くサンバ隊の演奏は朝の3時半まで続き、お客さんもサンバ隊もそれぞれに散っていった。