過酷な強行軍、コリンチャンス、コロンビアの地で辛くも無敗を守る
この試合の前にコリンチャンスはブラジル全国選手権でグレミオとの首位対決を制し、勢いに乗っていた。
しかし、この試合は過密日程に加え、過酷な移動がチームに負担となってのしかかっていた。トゥンハはサンパウロから直行便がなく、日曜にポルト・アレグレで試合をしたチームは、月曜昼にサンパウロから飛び立ち、乗り継ぎの関係もあり、当地についたのは火曜日の夜だった。
またスダメリカーナ杯は、南米ではリベルタドーレス杯に次ぐ国際大会ではあるものの、重要度は落ち、今後仮に決勝まで残ったら、ホームアンドアウェイで10試合も過酷な移動込みの試合を行わなければならず、ブラジレイロンで予想外の首位にいる今、「むしろ早いうちに大会を捨ててしまうのもあり」とさえ、ささやく声も聞かれていた。当然選手のモチベーションに影響する。
日曜試合、月曜~火曜で移動、水曜夜に試合、木曜夜に帰国、すぐ日曜には全国選手権と、カリーリ監督はエースFWのジョやマイコン、ジャジソンの3人をコロンビアに帯同させず、一応帯同したレギュラー左SBのアラーナも控えに置いた。
コロンビアリーグは前期リーグと後期リーグの中断期間だった。パトリオータスは、前期リーグで11位。国際試合に出るのも初めてのダークホースだが、逆に失うものはなく、高地標高2800メートルの地の利も活かし、積極的に攻め込んだ。すると前半30分に右サイドからのクロスのこぼれ球を、マウリシオ・ゴメスが蹴りこんだ。地を這うシュートは空気圧の影響もあり、「伸び」があり、コリンチャンスディフェンスの足にも当たり、コースが変わる不運もあった。
コリンチャンスは後半ジョヴァンニ・アウグスト、フェリペ・バストス、クレイトンとこれまであまり出番のなかった(失礼、「フレッシュな」)選手を投入するも、中々戦況は好転せず、試合はロスタイムに入った。
センターバックのバルブエナが、右サイドバックファギネルにパスを出し、スルスルと上がると、そこにファギネルがピンポイントクロス。斜めにヘッドで流し込んで、値千金の同点弾が生まれた。 「クロスをいれて長身の選手があわせる」と聞けば普通のプレーだが、すでにゴール近くで、デンと構えて待っていた場合と、走りこんでのヘッドでは、勢いも違うし、何よりマークが捕まえにくい。そんなプレーのお手本のようなゴールだった。
このまま試合は1-1で終了。コリンチャンスはブラジル全国選手権開幕前のサンパウロ州選手権開幕前からの無敗記録を24に伸ばし、およそ一カ月後のホームリターンマッチに貴重なアウェイゴールを持ち帰った。
試合後の記者会見でコロンビア人記者から、コリンチャンス監督への質問を通訳するバルブエナ(彼はパラグアイ人選手) (Sportv/Reprodução)
少しほほえましいシーンを、この試合、主催者側が通訳を用意しておらず、コリンチャンス、カリーリ監督(ブラジル人)とコロンビア人記者とのやり取りを決勝点の殊勲者バルブエナが通訳した。
この様子を放送したTV局は「まったく、スダメリカーナ杯、一応ヨーロッパではヨーロッパリーグに相当するはずの大会なのに、CONMEBOLときたら…」と渋い顔だった。
木曜夜に疲労困憊でサンパウロに戻ったコリンチャンスは日曜にホームでボタフォゴを迎え撃つ