ブラジルサッカー便り 

2014年よりブラジル、サンパウロ在住、サッカー大好きです。

2017年ブラジルサッカー界10大ニュース 5~7位

7位 パルメイラスの大型補強、まさかの空振り
2016年に22年ぶりのブラジル全国選手権制覇を達成したパルメイラスは、今年は「更なる大型補強で一気にリベルタドーレス杯、クラブW杯さえも獲ってしまえ」との勢いだった。 2016年リベルタドーレス杯優勝のアトレティコ・ナシオナル(コロンビア)のFWボルハ(コロンビア代表)と、MFゲーラ(ベネズエラ代表)を獲り、ボランチには元セレソンのフェリペ・メロまで。シーズン中でも、「あっちのポジションが足りない」「こっちのポジションにも欲しい」とバンバン選手を買い漁ったが、サンパウロ州選手権もブラジル杯も、リベルタドーレス杯も、全国選手権も何一つ優勝できずに終わった。同じ街の宿命のライバル、コリンチャンスが堅実な戦いで、サンパウロ州選手権と全国選手権の2冠に輝いただけでなく、デルビー・パウリスタと呼ばれる直接対決でも3戦全敗に終わったパルメイラスは見事な赤っ恥だった。 しかし、「大型補強は必ずしも優勝を約束するものではない」は事実だが、「大型補強をすると、かえってチームが弱くなる」は事実ではない。パルメイラスは太いスポンサー(サラ金)がついており、来シーズンに向けても着々と補強を進めている。 そろそろ各ポジション2人でも選手が余りだした感さえもあるほどだ。 資金難でボロボロ主力を引き抜かれるコリンチャンスにレンタルで分けてくれないものか、、、

 

6位 クルゼイロ、ブラジル杯を制覇    
 
クルゼイロは2013、14年と全国選手権を制覇していたが、その後少し低迷し、2016年には一時降格ゾーンにまで転落した。そこでチーム立て直しの任を託された元ブラジル代表監督のマノ・メネぜスが、守備から入る堅実なチーム作りを行い、今年のブラジル杯制覇につなげた。このオフには同じ街の宿敵アトレティコ・ミネイロからベテランCFフレッジも獲得し、来年は一気の躍進を狙っている。

 


5位 コリンチャンス、低すぎる下馬評を覆す、堂々の2冠達成

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「サンタさん、28回目のサンパウロ州選手権優勝と、7回目のブラジル全国選手権優勝をありがとう」と書いたプラカードを掲げる子供

(Daniel Augusto Jr. / Ag. Corinthians)


 コリンチャンスが好きすぎてブラジルに移住、今年も全国選手権のホームゲームは皆勤だったした私は、このニュースを1位にしたいのはやまやまだったが、やはり客観的なニュースバリューで5位とした。2015年全国選手権優勝から、翌2016年の開幕前には8人ものレギュラーを抜かれ、6月には頼みの綱のチッチ監督も代表に持っていかれたせいで、大きく落ち込んだコリンチャンス。 今年も地味な補強に、後任監督は助監督繰り上がりで就任したカリーリと、豪華補強のパルメイラスや、サンパウロFCに比べての低い評価はいかんともしがたかった。 新人監督カリーリの大当たり、ネームバリューこそなかったが意外に活躍した補強選手(ジョーの事を「ネームバリューがない」とは意外かもしれないが、今年の初めは実質8カ月も実戦から遠ざかっていて、もはやポンコツ扱いだった。彼以外にもボランチのガブリエルやサイドアタッカーのクレイソン、CBのパブロの出来は素晴らしかった)、ブラジル杯やスダメリカーナ杯で早く敗退したため、リーグ戦後半で日程に余裕があったことも今年の躍進の理由に挙げられるだろう。ただ、何と言っても選手も監督も、マスコミも口をそろえるのが、「2月のパルメイラスとのクラシコが分水嶺だった」という事実だ。 コリンチャンスは州選手権の始めから強かったわけではなく、ホーム開幕戦では全国4部にも入らない相手に敗れてもいた。片や開幕から好調でブイブイのパルメイラスは、「2016年も3連勝だったコリンチャンスなんぞ、軽くヒトひねり、リベルタドーレス前の練習さ」との意気で乗りこんできた。 今年の年末にシーズンMVPに輝くジョーは、まだスタメンですらなく、コリンチアーノも試合前は悲観的で、平日21時45分開催とはいえ、スタジアムには空席が目立つほどだった。
さらに、この試合は、審判が大きなミスを犯し、イエローカードを出す相手を間違えた。 コリンチャンスのガブリエルは全く何もしていないのに2枚目となるイエローカードを受け、前半途中で退場させられるも、コリンチャンスは0-0狙いで後半40分まで耐えていた。 そこで投入されたのはジョー。指示は「一人で点取ってこい」よりも、「スタメンのFWがもう疲れ切ってるから、代わりに前から敵のボールをチェイスしろ」だったはず。それでもなんとなんとジョーは終了間際に千金のゴールを決めてチームは勝利した。あの憎きパルメイラスに、コリンチャンスファンでさえ実力差を認めざるを得なかったパルメイラスに、45分以上も10人で戦っての勝利。コリンチアーノは歓喜した。

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ジョーの得点王も、「クラシコの王」と呼ばれるほどのクラシコでの高い得点率も、全国選手権ふくめてのパルメイラス3タテもここから始まったと言えるだろう。たった1試合の結果が大きくその後の2チームの明暗を分ける結果となった。