ブラジルサッカー便り 

2014年よりブラジル、サンパウロ在住、サッカー大好きです。

遂に決めた!コリンチャンスのジャイアン。元トルコ代表FWの決勝点でコリンチャンス優勝目前

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2月のサンパウロ州選手権以来、実に9カ月ぶりにゴールを決めたカジム

(© Daniel Augusto Jr. / Ag. Corinthians)

コリンチャンスxアヴァイー ハイライト

http://globoesporte.globo.com/sp/futebol/brasileirao-serie-a/jogo/11-11-2017/corinthians-avai/#video-id=6283268

 

 たった1週間でこれほどまでに変わるのか? コリンチャンスは先週5日のパルメイラス戦直前は、「調子を極端に落とした首位コリンチャンスと、上り調子の2位パルメイラス。その勝ち点差はわずかに5、直接対決でパルメイラスが勝てば、差は2まで縮まり、首位交代も時間の問題」とまで言われていたが、問題のパルメイラス戦を3-2の激戦の末に勝利すると、3日後の8日水曜のアトレチコ・パラナエンセ戦にも勝ち、そして11日土曜のアヴァイー戦も勝って3連勝。優勝目前までこぎつけた。

 

 シーズンも終盤を迎え、累積警告などで出場停止の選手が出やすい時期だが、コリンチャンスはアヴァイー戦で、チーム得点王のセンターFWジョと、ブラジル代表に呼ばれた守護神カッシオ、さらに第2GKワルテルも怪我で欠いていた。

 ゴールマウスには22歳の第3GKカイケが入り、FWにはカジムが入るも、このカジム、今年の成績は散々で、1月のプレシーズン戦と、2月のサンパウロ州選手権の予選リーグ、全国では4部にも入れないレベルのチーム相手に得点しただけだった。

 ロンドン生まれのトルコ移民の子で、トルコ代表としてEUROにも出場経験のあるカジムは今年の新加入選手で、1トップの座をジョと争っていた。 不運なのは、今年のジョの出来は別格で、カジムの出番は、ジョが怪我か出場停止の時、後半残り10分で負けている時のパワープレイ要員、ジョが疲れている時の前のプレスを強化したい時などに限られていた。

 そんなカジムは出場試合数こそ18を数えたが、得点なしが9カ月も続き、大事な試合を前にファンの不安も相当なものだった。まだ不慣れなポルトガル語で、「チームが第一、出られなくてつらいけど、ジョはアミーゴ」とインタビューなどで語るカジムの人柄は好かれていたが、やはりFWは、「点取ってナンボ」。優勝へ向けて突き進むチームの中で、ブレーキになりたくないとの思いはひとしおだったはずだ。

 試合前日のサッカー番組でも、「コリンチャンスの問題は2つ、ジョの不在と、カジムがそこに入ってしまう事。3番手のセンターFW、ユースのカルリーニョスではだめなのか?」とまで言われてしまっていた。

 対戦相手のアヴァイーは全20チーム中19位と、明らかに実力が落ち、前半はコリンチャンスが圧倒するも、中々ゴールを割ることが出来なかった。肝心のカジムも自信を失っているのか、余計な動きで、本来センターフォワードの自分にお膳立てすべき、サイドの選手が追うべきボールを自分で追って動きが被ってしまうなど、大きな体を活かしてスクリーンから2列目の選手にチャンスを作った以外は良い所がなかった。

 スタンドで見ていた僕も、「もう限界だろ。味方の指示の言葉も分かっていないんじゃないか?本職じゃなくとも攻撃的MFでも入れてゼロトップにすれば?」と思っていた後半早々、遂にカジムにゴールが飛び出した。左サイドから、スペインのセビージャ移籍濃厚と言われている売り出し中のサイドバック、ギリェルメ・アラーナのクロスを胸に当てておしこんだ。

 このゴールにコリンチアーノも狂喜乱舞。しかし一番喜んだのは本人だった。コーナーフラッグを引き抜き振り回して、これまでのストレスを発散させるがごとく喜びを爆発させた。これで勢いに乗り、一気に畳みかけ、、、とはいかないのが今年のコリンチャンス、中盤を2ボランチから、1ボランチ、また2ボランチと、いちいち交代枠を使ってモタモタいじっている内に、左ウイングも足がつり走れなくなり後半32分には交代枠を使い切った。1部残留のためになりふり構わぬアヴァイーの反撃を呼び込む形となるも、アヴァイーの決定力不足と、第3GKの奮闘で1-0の辛勝だった。

 ただこれで、コリンチャンスは試合のなかった2位グレミオとの差を暫定11に広げ、グレミオの結果いかんでもあるが、次節15日水曜にも通算7度目の優勝を確定させる可能性が出てきた。